第26話 リムニ湖とグィネヴィア

村長の家に入り、飲み物を出された。大人は茶、子供はブドウの果実水だ。


「美味しいね!」


「私、この村のブドウ大好き!」


果実水を飲んでアーティ達が言ったことにたいし村長は、


「それは良かったです、この村の特産品なので皆頑張って育てているんです」


この村の農作物はとても良質で普段食べている物は大抵この村の物らしい。


「所で、今日は何用で?」


「今日は散歩の予定で。この村の近くにあると言う湖を見に行こうかと」


「おお!リムニ湖ですか。散歩に丁度いいですね」


「それで、誰か人を付けてくれないですか?道案内を頼みたいのですが」


村長は少し考えた後、


「そうですね、それでは私の孫に行かせましょう。おーい。グィネヴィア来なさい」


「何ですか?お爺様?」


やって来たのはアーティ達と同じくらいの年齢の金髪で赤眼の可愛い女の子だった。


「グィネヴィア、こちらユリウス侯爵様のお子さん達だ、挨拶をしなさい」


そう聞くとグィネヴィアは慌ててお辞儀をしながら、


「すいません!気付かなくて。私はグィネヴィアと申します」


「よろしくね、グィネヴィア」


「...」


リズは挨拶したがアーティは、固まって何も喋らなくなった。


「アーティ?」


「っ...よろしく」


その様子を見て大人達は、微笑ましく見ていた。


(...わかりやすいな、しかもグィネヴィアだし)


アーサーにグィネヴィアとは、運命のようなものだろう。


(何のことだかよくわかりません?)


(ああ、気にするな)


(そうですか)


その後、顔を赤くしたアーティに


「風邪ですか?」


と言って手で熱を測ると、


さらに真っ赤になって走って行った。


「アーティ様はお元気でしたね!」


そう言ってグィネヴィアは笑った。


(全く気付いてないな、厄介な人を好きになったもんだな)





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





逃げたアーティには、グィーノがついて行った。


「それでグィネヴィア、リムニ湖に案内を頼みたいんだよ」


「わかりました。案内させていただきます」


「それではアーティ様が戻り次第出発いたしますので準備をお願いします」


「はい」


そう言って準備をしに行った。


その10分後にアーティは戻って来た。


「取り乱してしまいすいません」


「気にしないでください。私としては嬉しい限りですよ」


すると、グィネヴィアが準備をし終わり戻って来た。


「すいません、お待たせしました」


「いえ、丁度アーティ様も戻って来たところです」


「そうでしたか、早とちりしてしまいましたね」


少し照れ臭そうにしているグィネヴィアを見てアーティは、


「かわ...ごほん!案内よろしく、グィネヴィア」


「はい、よろしくお願いします」


こうして、リムニ湖に向かうのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る