第17話 オリエンス料理と緑色の物体
早速付けてもらった。色はこの世界で一番多い茶色らしい。
(どうかな?)
『ちゃんと機能してるようですね』
アランとエリンの腕輪をみてグラピウスは、
(私も使いたいな〜)
(ダメですよ、数が足りないんですから。それに私達具現化しないと見えないじゃないですか)
(あ!そうか〜)
(アワリティアとグラピウスも隠れなくて良いようになったら貸してあげるさ)
(絶対だよ!)
グラピウスが念押ししてきた。
(わかったわかった。あれ?エリンは?)
さっきから静かなエリンは
(ピクニックじゃなかったか...)
激しく落ち込んでいた。
(そんな落ち込むなって)
(ピクニックがー!)
エリンが腕の中でもがき始めた。
「あら?どうしたのエリン?」
「どうしたんだ?」
あやしても一向に動きを止めないエリンにユリウスとアリスが困っていると。
「お腹が空いているのではないでしょうか?そろそろ昼食の時間ですし」
「ああ!本当だ、もうこんな時間か。帰らないとな」
ユリウスが席を立つと、
「そうだユリウス、食べてくか?」
それを聞いたユリウスは、少し青くなると、
「いや、悪いんじゃないか?」
「そんなことないさ、簡単にできるやつで良いならね」
「いやいや、そんな訳には...」
「僕、ヴァンおじさんの料理食べたい!」
「私も食べたい!」
ユリウスの言葉を遮りアーティとリズが言った。
「そうか、じゃあ食べていきな?」
「悪いわね、ちゃんとお礼するのよ」
「「ありがとう、ヴァンおじさん!」」
にこやかな笑顔のアーティ達と違いユリウスは、
「いやいや、いいんだよヴァン。迷惑をかける訳にはいかないよ!」
かなり焦り食事を拒否している。
「えー、ダメなの?」
「残念」
「...」
アリス達は少し機嫌が悪くなってしまった。
「そーかい、またユリウスは要らないんだね?じゃあアリスと子供達の分を用意してくるよ。ミカ、手伝ってくれ」
そう言ってアンヴァンとミカニは、出て行った。
「ユリウス、またそうやって食べないつもり?」
アリスがユリウスを見ると、
「ち、違うんだ、まだあの恐怖が...」
「なんで?ヴァンおじさんの料理美味しいよ?」
「まだ体に刻み込まれてるんだよ」
(言っている意味がわからなくなってるな)
ユリウスは、今にも倒れそうだった。
ちなみにエリンは、食事が出ると聞いてから直ぐに大人しくなった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
待つこと15分アンヴァンとミカニが料理を持ってきた。
「今回は東の小国オリエンスの料理を作ってみたよー」
そう言って持ってきたのは...なんと刺身だった!刺身のほか、味噌汁、漬物があった。挙げ句の果てに米まであった。
(米だと...見つかるの早すぎないないか!)
(アラン、興奮しすぎではないですか?)
わずか8ヶ月だが懐かしいものは懐かしい。
(よくある展開では結構後に見つけるパターンが多いから心配だったんだ!すごい嬉しい)
喜んでいると、
「この切り身は魚だよ、このスープは豆を発酵させてできた味噌というものを使っている、このしなしなしてるのは塩やこれまた豆を発酵させて作る醤油と呼ばれるものを使って作られているよ。この白いのは米と呼ばれていて、様々な料理に合うんだ」
アリス達は興味深く見ている。
「さあ、食べてくれ」
食べ始めると、
「「「美味しい!」」」
すごい笑顔で食べている。
(は〜、日本の味だ)
(...!)
アリスに至っては無言で食べている。
「食べてなんともないか?」
ユリウスは、ジーッと見ている。
「あるわけないじゃないか」
「本当にお父さん食べないの?」
「こんなに美味しいのに〜」
諦めたかのようにユリウスは、
「...わかったよ。食べる!」
ユリウスも食べ始めると、
「美味い!」
ガツガツと食べ始めた。
「なんだい、食べないと言ってたくせに」
「それはヴァンの料理を食べると何かしら起きるからだよ。でも今回は何もないな?」
「そんなことないのにな、そうだ!ユリウスこれを魚の切り身につけて食べると美味しいらしいよ」
そう言って緑色のペースト状のものを持ってきた。
「そうなのか!」
そう言ってたっぷりつけてしまった。
(あ!あれって)
「あ!ダメだユリウス。つけ過ぎ...」
手遅れだった。刺身につける緑色の物体といえば、あれしかない。
「ぐふっ!」
ユリウスの顔が真っ赤になる。
「少量つけるものなのに...」
わさびに決まっている!
(あんなつけるなんて自殺行為だ...!)
ユリウスは、ゆっくりと倒れた。
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