第16話 記憶と魔法具
「やはり
「いやー、わからないんだよ。名前と昔の一般常識しか覚えてない」
「仕組みもか?」
「全くさ」
「申し訳ありません。何も覚えてなくて」
俯くミカニに、
「良いんだ、ミカは何も悪く無いよ。むしろ、ミカは辛く無いのかい?」
「正直、記憶が無いと不安です...でも俯いててもダメです。前に進まないと」
前を向き笑顔を見せる。
するとアンヴァンが、
「ミカ、今は私の手伝いをしているがやりたい事があったら相談しなさい。出来る限りの支援をしよう。それまでは自由にここにいて良いからね」
「ありがとうございます。マスター」
「名前で呼んでくれ。一緒に暮らすんだ、家族みたいなもんだろ?」
「はい!アンヴァン」
すると、ユリウスが茶々を入れてきた。
「なあなあミカちゃん。お父さん、て呼んでみたら?」
「おい、何勝手なこと...」
すると、ミカニが恥ずかしそうな顔で
「お父さん」
と、呼ぶと満更でもなさそうだった。
(最初からだが感情も出してるな?俺の
アランのイメージは、感情が無いかあまり表に出さずにマスターまたは主人などの命令に従う。というイメージだった。これはこういう小説しか読まなかったからかもしれないが...
「しかし黒眼だ。勇者と同等の力をもっているのか?」
ユリウスが問うと、
「私も見識で見たが、かなり優秀だったよ。アランとエリンに負けず劣らずの可能性を感じるよ。まあ私の娘だし、優秀なのは当たり前だね」
(親バカになるの早!)
「ありがとうございます、お父さん」
そう言われて嬉しそうだった。
しかし、いい歳した男が「お父さん」と呼ばれ喜んでる姿を見ても何も面白く無い。
アーティとリズも暇そうだ、エリンなんか寝ている。その状況に気づいたのか、
「そうだ、本題に入ろう。ミカ、あれ持って来てくれないか?」
「わかりました」
ミカニは部屋から出て行った。
「ところでどんなやつなんだ?」
「なーに、見た方がわかりやすいさ」
直ぐに戻ってきた。
「はい、お父さん」
「ありがとうミカ。さあ、この魔法具が頼まれた奴だ」
アンヴァンが出したのは、宝石のようなものが入った腕輪だった。
「ただの腕輪にしか見えないわ」
「そうだろうアリス、そこも重要なんだよ。試してみよう」
そう言って腕輪をはめると変化が起き始めた。髪も眼も紫から黒に変わり始めた。
(おお、色が変わった)
アランが驚いていると、
「流石ヴァンだな一年も経たないうちに作るとは」
「ヴァンおじさんすごいね!」
「私にも使わせてー!」
「三個しか無いんだけどな...まあ良いか。リズ、腕を出して」
アンヴァンがリズの腕に腕輪をはめると
「ぶかぶかだよ?」
「まあ見てな」
すると、腕輪はリズの腕の大きさに合わせて縮んだ。
「わー、すごい!ねえねえアーティどう?」
「似合ってるよ」
「次アーティつけて!」
アーティ達は腕輪で遊び始めた。
「凄いな、サイズも変わるなんて」
「他にも色々詰め込んだんだ」
・宝石のような部分がかなり希少な魔石で空気中の魔力を使い使用出来る
・サイズ変換
・髪と眼の色を変えられる
・使用者設定が2人まで出来る(変更可能)
・設定されてない人は使えない
「いつでも使えるのはありがたいな」
「ありがとう、アンヴァン。これでアランとエリンを連れて出かけられるわ」
「どういたしまして」
(俺達のためだったのか!これで出かけられるのか。外に出たのは庭だけだからな。かなり嬉しいな。)
アランは驚き、両親とアンヴァンに心の中で感謝した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます