第4話 叡智と目標

(エリンが起きるまで叡智メーティスを使ってみよう)


(そうですね)


アランは今のうちに少しでもこの世界の情報を集めようと考えていた。


(《叡智メーティス》)


『起動...始めまして私は叡智メーティスと申します。よろしくお願いいたします、アラン様』


機械的な感情が読めない声が聞こえてきた。


(様付けはやめてくれ)


『わかりました、アラン』


(いきなりで悪いが質問だ。今は戦争とかやってるか?)


『今は停戦中です』


(詳しくわかるか?)


『はい、人族至上主義の国アンスロポス、亜人の国ドンムル、魔族の国トイフェルです。アンスロポスが他の2国と争っています』


理由はアンスロポスが亜人を奴隷などにして働かせているのが一番の理由らしい。


(俺たちがいる国はアンスロポスか?)


『違います。人族、亜人、魔族が共存する国、システンシアです』


使用人達は奴隷ではなさそうで安心した。


(各国との関係は?)


『アンスロポスとはあまり友好的ではありません、貿易などもないです。ドンムル、トイフェルとは友好的です』


(戦争への関与は?)


『2国に物資や人員の支援をしています』


(なるほど、人員は徴兵制か?)


『志願制です、特別手当が支給されますので』


成長しても無理に戦争に出なくてもいいことに安心した。


(とりあえず、停戦中だし戦争や国関係は終わりだ。次は魔法関係を教えてくれ)


『はい、わかりました』


魔法とは、体内にあるMPを魔法に変換し現象を起こすことである。魔法には属性ごとに適性があり、無い者はどうあがいても使えない。適性は調べる魔導具があるらしい。変換するときには詠唱が必要だが短縮ができる者もいる。


(魔法の適性が無かったら悲しいな、まあいい次はステータス関係だ)


ステータスは、基本的にLv上昇とともに上がるが鍛えれば少しだが上がるらしい。


他に質問した事は、


・亜人には獣人、エルフなど人族とは違った見た目の者の総称

・魔族は良くある小説のように悪い存在ではなく亜人以外の者の総称

・この世界の技術は前世の中世の技術に加え進んだ時代の技術もあり、そこに魔法が加わりかなりちぐはぐになっている

・動物の他に魔獣がいる

・魔獣討伐や依頼をこなす冒険者がいる

・昔には魔王、勇者と呼ばれる存在がいたらしい

etc.


(勇者とかいたのか、少し憧れるな。なったらだるそうだけど)


『他に質問はありますでしょうか?』


(いや、大丈夫だまた何かあったら頼む)


『はい、かしこまりました』


と言って叡智メーティスの声が聞こえなくなった。


(知識を得たのは良いがまだ起きないのか?)


(念話を使ってみてはいかがでしょうか?)


(そうだな、《念話》)


とりあえず呼び掛けてみる。


(おーいエリン聞こえるか?)


すると、


(んー、聞こえるよー)


眠そうな声が聞こえてきた


(寝るなよエリン、とりあえず叡智メーティスでわかったこの世界のことを教えるからな)


教えた後、エリンは


(美味しい物のことは聞いてないんだね)


(聞いてないな)


(えー、なんでー)


(それよりこの世界で何をするか決めよう)


エリンの答えは、


(美味しいもの食べること!)


(...そうだと思ったよ、それなら仮にだけど冒険者が良いと思うんだ)


(なんで?)


(自由に暮らせるし、世界中回れる、魔獣の肉にも食べられるやつがあるらしいからな。美味しいもの食べられるぞ。まあそれ以外に良いのがあったら変えるけどな)


(そうしよう)


(エリンならそう言うと思ったよ)


こうして、この双子は冒険者(仮)を目指し始めるのだった。

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