ショートケーキ事件簿

第1話

閑静な住宅街に店舗を構えているお菓子屋がある。

暖かな人柄の店主が趣味もかねて出店している店だ。

最近は、ネット通販や、移動販売も手がけているという。最近はそちらの方に力を入れているのは、人どうりが少なく売上が生活をするには足りないからだ。しかし、実家を兼ねた店舗なので、暇であっても、テレビが見れたりもする。そんな店主が送る低刺激の日々の中で、事件が起こったのだ。なんと、ショーケースの中のケーキやクッキーが盗まれたのだ。

昼下がり。人が少ない時間帯であることをいいことに居間でテレビを見たあと、ふと、店舗に戻ってみるとなかったのである。店主は、ガラスが割られていることには気を配らず、ケーキが盗まれたという事態の不思議さにだけに関心を払っていた。

｢不思議だなあ。」

監視カメラがあるわけではないので、店主は、泥棒対策として、特徴などはわからないながらも、噂を流すことにした。

｢もう暇つぶしが出来ないなあ」

それからは、毎日、店のイスに座っていたのである。

それからというもの、珍妙な店主の人柄が受けて、隣の地域から人が買いに来るようになった。

それだけである。