第2話 再誕2

 俺を殺した者が目の前で死んでいた。

 どうやら、今度は警察官に憑依してしまったようだ。どうやら、殺した相手に憑依してしまうシステムだったらしい。

 全く、俺にはもうこの世に未練など無いというのに。

 この警察官は極めて不憫だな。相手が凶悪殺人犯といえど、人を殺めてしまった事を悔やみ、良心の呵責によりその場で自殺。

 そんな風に調書を書かれるのだろう。

 俺は手に持っている拳銃のシリンダーを外して残弾を確認する。

 なんと、一発しか残っていないでは無いか。まさに自決用の一発だ。

 俺は顎に銃口を突きつけて引き金を引いた。



 





 俺を殺した者が目の前で死んでいた。

 


 また、その隣には警察官が倒れていた。

 ということはこの身体はもう一人の、撃たなかった方の警察官だな。

 殺したかどうかは関係なく、ただ近くに居た人間に憑依してしまうだけなのかもしれない。

 再度自決して確かめるべきか?

「ここだ! 銃声はここから!」

「あの~お巡りさん。一体何が・・・・・・うわあああ!」

 野次馬か。

 周囲にこれだけ人が居ては、死んだところでまた誰かに憑依するだけかもしれない。

 俺は一先ず、警察官としての職務を遂行することにした。

「申し訳ありません。現場保全の為、立ち入りをご遠慮願えますか?」

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