第13話
湖side
ああ、いやなことを思い出してしまった。そう思い、顔を洗おうと洗面所に向かった。
「…今日は何しようかなぁ」
さすがボッチと言おうか、友達などもおらず、親も今は家を空けている。家には幼い少女と二人っきり。
…いや、どうしろと?
部屋に戻ると少女がすやすやと眠っていた。音楽でも聞いてアイラが起きるまで待とうと思い、イヤホンとスマホの電源をつける。
「…お」
通知をみると、よくプレイしているゲームの大型更新が昨日来ていた。音楽はやめて、ゲームに変更。少しのロード時間の後、更新された点についてゲームの説明があった。
「へえ…」
結構便利そうな機能が追加されていた。
…前は、ゲームをする程度の余裕も、なかったんだよなぁ。そんなことを思う。今ではそれなりにソシャゲもやるようになった。あとはラノベ読んだり、音楽聞いたり。オタク文化ばっかなのは仕方がないけれども、前の何に対しても無気力で、興味を示せなかった頃よりは随分マシになっただろう。
妙に冷静な頭で自己分析する。あの頃のことを思い出すのはいつも突然だが、そのあとこうして静かに考える時間があるというのは良いな、と思う。多分、天気のいい朝、少し肌寒くはあるが不快になるほどでもなく、すぅすぅと小さく聞こえる他人の音、そう言う環境のおかげで冷静でいられた。
少しして、ん…と言って少女が起きる気配がした。
「お。おはよう」
「……」
ベットの上で起き上がる少女は辺りを見回していた。もしかして、さっきの俺みたいに一瞬状況が分からなくなってるとかか。にしても、かわいいな。いやマジで。
「きょうはてんきどう?」
てんき?朝開口一番でそれ?
「今日は晴れだぞ。」
「…そっか」
「どうした?なんか怖い夢でも見たのか?」
「うん…」
すがすがしい晴れの日の朝だというのに、アイラは暗い顔をしている。まあ、俺の経験上、こういう時はまず最初に安心できるような言葉をかけてもらいたいものだ。多分。
「大丈夫だから、な?」
「うん…」
今にも泣き出しそうな顔をするアイラに、同声をかけていいのかわからない。幼い子供に泣かれるのは苦手だ。こういう場合はどうするのがいいのだろうか。
「えっと…何見たのか、教えてくれるか?」
「…ん」
小さく頷いて、アイラがぽつぽつを話しを始めた。
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