第11話

湖side


「…」

 ファーとあくびを盛大にかましてから、ふと横から温かみを感じて、そちらを見る。

「……?」

 横には白い少女。ここまで来て意識が覚醒した。まだ隣に少女の存在がある事に慣れそうにはない。

 昨夜、どう寝ようかと迷ったが、結局2人で寝た。布団を引っ張り出すのも面倒だったし、アイラが一人で寝るのは寂しいといったからだ。

 本日の天気は晴れ。自室のカーテンから漏れる光を見ながらぼーっとする。

「はあ…今日で3日目か。」

 そう、冬休み3日目である。うちの学校は、冬休みが約3週間もある。そのうちアイラとどれくらい過ごせるかは分からないけど、それでもなるべくは一緒にすごしたいものだ。


 アイラを起こすか少し迷ってから、寝かせておくことにした。疲れているだろう。昨晩は俺が風呂から上がってから、たくさん漢字について聞かれた。

 今度小1の漢字練習ノートみたいなん買ってあげよ。そんなことを考えながら、起き上がる。

「さぶ…」

 今は冬真っただ中。朝は冷え込む。ストーブをつけ、適当に椅子に座る。アイラの眠る顔を見つめながら今日の予定を大まかに立てる。今日やるべきことは…まず、冷蔵庫の中身が真面なものが無いので買いに行かないといけない。それに、そろそろアイラとちゃんと話もしたい。あとは…あ、昨日アイラが居た場所に行くの忘れてた。服やべぇって思って服を買うことでいっぱいだった。

 アイラがいるってだけで、やることが全くなかった冬休みが一気ににぎやかになった。


 こんなおれでよかったのかな。ふと、そんなことを考えて、眠るのではなく、ただ目を閉じた。

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