第7話

 揺れる電車の中で横に座って窓を眺めるアイラを見ながら、かわいいなと思ってしまう。

 だが先ほど気づいたことではあるのだが、首や手、足にある黒い模様。直接聞く事はしなかったが、目立っている。これから人前に出る時は包帯などを巻いてみるか、と思う。今日はしょうがない。デパートなどでは少し痛い人と間違えられると予想し、はあ、とため息をつく。

 まあ、白い髪の少女など目立つことこの上ないが。

 ・・・かわいいから許すけど。

「ねえこれからどこいくの?」

「たくさんお店があるところ。」

「たのしみだ!」

 そんなこと話しながら電車に乗っていると、目的の駅に着いたので降りる。


 さすが日本の中心。人が混雑している。゛人がごみのようだ゛とはこのことだ、といつも思う。

 先程から人の多さに少女は目を回している。森の中に居たのならこんなにたくさんの人を見たことがないのだろう。

 だからはぐれないようにと抱っこをしてみる。

「おーいアイラ?だいじょぶか?」

「う、うん。こんなにたくさんのひとはじめてみた。」

「しっかり捕まっといてな」

「うん」

 今は冬休み半ば。学生も多いが、様々な年代の人が行き来している。俺は目的の店に行くため歩いていると、

「やっぱりここは、わたしのすんでたばしょとぜんぜんちがう。」

「‥どうしてそう思う?」

「だってなんか、こう、ひとがきてるふくとかもそうだけど、ふんいきが、なんというか…」

「そっか。」

 会話が途切れ、ちょうどよく店が見えてくる。デパートに入り、子供服の店を選び入る。


 アイラを下ろし、ボッチにより使うことの少ない金の残高を思い出しながら、服屋に送り出す。俺が入るには正直場違い感がすごい。

「好きな服選んできて」

「…いっぱいあってわかんない。」

「まじか。俺センスなんてかけらもない…」

 どうしよう。真面目に俺にセンスなんてものはない。んーと考えその結果。

「あのーすみません。この子に似合う服2着くらい見繕ってもらえませんか?」

 定員さんは俺たちの姿を見て驚いてはいたが、さすがはプロ。

「かしこまりました。」

 と少女を見て服を選びに行った。

「あのおねーさんに服選んでもらってな。」

「うん。わかった。でも、ダイジョブだよね?」

「ああ、なんかあったらすぐ行くから。」

 少し不思議な会話だなあと思いながら、定員さんに連れられて行ったアイラを待つ。

 暫くすると、いくつかの服をもった定員と、ちょこちょことそれに続くアイラが戻ってきた。

「このような服はどうでしょうか?ご試着なども可能ですよ。」

「有難うございます。…アイラ、一人で着てこれるか?」

「…うん、だいじょうぶ。」

 少し不安そうではあるがここは頑張ってもらうしかない。定員さんから2着分の服を置け取って試着スペースへと促す。

「試しに来てみてサイズとか、確認してみて。」

「わかった。」

 少ししてでてきた少女は元のぶかぶかな格好だった。自分で着て、ちゃんとサイズは確認できたらしい。

「おっけーだったよ。」

「よかった。だいじょうぶだった?」

「うん。」

 来てみた姿が見てみたかったが、今度の楽しみだと思いレジに向かう。

「これお願いします。」


 子供服、侮っていた。ここまで高くなるとは。想定内ではあったが、焦る額ではあった。


「じゃあそろそろ帰るか。」

 もう少し見て回りたい気持ちもあったが、少女は相当疲れているだろう。

 こくりとうなずいて、手をつないだ。


 帰路にて、疲れた少女を抱っこして、電車に乗って、雪道を歩いて、で途中から眠った少女を起こさないようにして…

 結果、めちゃくちゃ疲れた。家に帰ってからソファに寝かせて、一息ついたときには眠気が襲ってきた。


 そんな眠気に身を任せ、意識は暗闇へと落ちていった。

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