第6話

 あの後、アイラの服がない事に気がついた。どこかで買わなければ、と思いながらも今どうするかだ。因みに。因みになんだが。アイラが着ていたのは、本当に、白いワンピース一つ。それだけだ。それ以上は言うまい。

 ひとまず自分のモフモフの冬用のパーカーを上に着せてみた。

 大きすぎて膝まで隠れてしまっていて可愛らしい。燃え袖ってやつか。袖じゃないけど。でも、外は真冬である。そのまま外に出すのはまずい。

 次は足をどうするかだ。俺のズボンじゃデカすぎるし、いろいろアウト。母親あれこれを貸してみたけど、やっぱどれも大きそうだった。どうしよう。やっぱ外行くのは無理だろうか。でも、アイラはおそと、おそと、と楽しそうだ。

 とりあえず、母親のもこもこ靴下を貸してみる。長くてタイツみたいで、これでいいか、って感じにはなった。でもズボンないの、さむくね。あー、寒さとか感じないのか。でも、風邪ひくだろぉ。どうしよ……。

 とりあえず、最後に靴。母親の長けの短い長靴で勘弁してもらった。いや、ふつうの長靴。雪の中歩くなんてくそ寒いけど、分厚い靴下で何とかなるってことで。つま先カイロ装備。母親のでもブッカブカで、歩きずらそうだったが、アイラは楽しそうにしていた。

 何とかなったところで(なってない)、ついでに服も買いに行くことを含め、ある程度のお金を持って準備は万端だ。もう、その場で買った服を着せるしかないと腹をくくった。

「じゃ、行くか。」

「うん!!」

 外に出るドアを開ける。

「わあ…!!」

「アイラは雪を見るのは初めて?」

「ゆき?このしろいの?はじめてみる!きれい‼」

「触ると冷たいから気をつけてな」

「わぁ!つめたい!…みずになっちゃった」

 テンションMaxである。白い髪で雪の中を駆け回る姿はきれいだった。

「こけるなよー」

 ぶかぶかの服で走り回る少女を見て心配やら、穏やかな気持ちになる自分にひそかに苦笑し、

「てつないで!」

 そう言うアイラと手をつなぐ。

「ここから駅まで歩いて、電車乗って、アイラの服買いに行こうか。」

「ふく?いいの?」

「うん。」

「やった!ありがとう!!」

 手をつなぎながら歩いていく。

 この調子だと電車乗る時とか大変だろうな、と隣で雪に興奮している少女を見た。頬が緩むのを感じた。

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