第2話最初の出会い
は空が赤に染まりだしもう少しで夕方という時間に森の中を少女と一緒にさまよっていた。
「おい、腹が減ったぞ。はやくなにかを食わせろ」
こんな生意気なことをいってくる小学生くらいの少女に鉄拳制裁でも喰らわせてやろうかと考えたが俺は大人だ。
ここは大人対応をしなければ。
「ほら、そこにキノコがあるだろう?美味しそうなキノコだ。あれを食べれば良いんじゃないですかね」
「ばかもの。あれは毒キノコだ。それに年下に敬語など、プライドというものがお前には無いのか?」
よし。こいつに鉄拳制裁を喰らわそう。お腹いっぱいですと言うまで喰らわせてやろう。
そう、心に決めて拳をグッと握りしめた時......
「見ろ!あれはラビーだ!あいつを捕まえて食うぞ!」
見ると翼が生えた白いウサギみたいなのがピョンピョン跳ねていた。
あれはラビーというのか。というか翼があるのならそれで飛べよなと思っていたら、小学生くらいの少女はそれに向かって走っていった。
そしてどこかに消えていった......
「はぁ、手間かけさせんなよ......」
全く何でこんなことになったのか。それは今日の朝にさかのぼる。
*
目が覚めると、俺は森の中に立っていた。
周りに鬱蒼と木々が生い茂っていて、そこに倒れている巨木にはこけが生えている。
周りの木はどれも見上げるほどでかくて、ここが古くからあり伐 採されていない森だいうことを伺わせる。
葉っぱに朝露がのっていることから朝、だと思った。
そして不思議な点が二つほどある。
まず一つ目。
なぜ俺がこんなところにいるのか全く思い出せない。
というかこんな場所知らない。
俺はジャージにさらに上着を羽織っていた。
そして、鎖に赤い宝石がついたネックレスを首にかけていた。
それは夜寝巻きに着替えてコンビニに行く途中みたいな格好だった。
ネックレスはちょっとよくわからないが。
ん?待てよ。コンビニ?なんだろうそれは。
そして俺は気付く。こんなところにいる記憶は無い。だがそれ以前の記憶も無い。
そして、ここの記憶もない。 つまり、友人関係や、この世界の常識、と言うのだろうかそれらを覚えていない。
そして疑問に思っていたこと。
つまり二つ目。
あそこにいる生き物はなんだ?
真っ白などこかでみた生き物みたいな、だが違う。
なんとなくだけど、あいつらはもっと足が短いはずだ。
それに翼が生えていた。......翼。いや、俺が覚えていたはずの生き物なんかに翼はない。
というとあれはなんだろう。新種の生き物だろうか。
それなら捕まえなければ!俺の珍しい物レーダーが反応する。
そして俺は体感で30分その翼生物を追いかけ続けていた。
なにあいつ!翼あるくせに飛ばないし、やけに早いし!
結局捕まえることができずにそこにあった大きな木にもたれかかって休むことにした。
「ふぎゅう!」
......ふぎゅう?また新しい生き物でも見つけたのだろうか。
音の原因をワクワクしながら振り返ると......!
「お、お前はなんだ!やっと私が休憩できるところを見つけ休んでいたのに!」
なんだかちびっこい少女が俺に向かってキレていた。
「......」
「いや、待て待て!なぜそのまま座ろうとする!?私がここにいるだろう!待てって!無視すんなって!わかりましたすいません、ここを退くから私を椅子にして座らないでください!」
全く無礼な女の子だ。いきなり、タメ語で話しかけるだなんて、礼儀がなっていない。
しかし、よく見るとなかなかの美少女だ。
燃えるような赤色の瞳に、滑らかでキメ細やかな白い肌。
そして栗色の流れるような肩より下まである髪を、だがその髪や顔には木葉や、泥などが付いていた。
「で、こんなところで何をしてるんだ?」
「それは私のセリフだ。大体いきなりあった人を椅子にしようなどと正気か?お前は」
いきなり会った人に正気か?と聞く方もどうかと思う。
「まあいい。そんなことよりだ。腹が減って動けないんだ、助けてくれ......」
少女からぐぅーと腹の音がなる。
「そうなのか。俺もなんでここにいたのか全く記憶が無いんだ。」
「ほう。で、私は腹が減ったぞ」
「俺、ここまでの記憶が無いんだ」
「......」
「......」
「腹が減ったと言ってるだろう!?食料を持っているなら素直に出せばいいし、無いなら私のためにとってこい!わ、わかった、謝るから私の上に座ろうとするな!」
生意気な口を聞く少女の上に無理矢理座ろうとしたら、謝られた。
「俺だって記憶が無いって言ってるだろ。なにが食べれるのか分かんないんだよ」
「はぁ...適当に持ってくれば食べれるものは私が分かる。なにかキノコか動物でもとってきてこい」
だからなんでこいつは偉そうなんだ。
だが、俺も腹が減ってきている。
食べれるものはあいつが知っているようだし、何か適当にとってこよう。
「分かったよ、しょうがねぇな。感謝しろよ?」
「感謝など、当たり前のことをやったやつになぜ感謝せねばならない?」
何でこいつこんな偉そうなの?腹減って動けないくせに。ムカついた俺は葉っぱのベッドを作ってやった。
「む?気がきくな。この体勢も地味に苦しいのだ」
この少女は木にもたれかかって体育座りみたいな感じで座っていた。
俺はそれをお姫様抱っこをして葉っぱのベッドに寝かせてやった。
「まぁ、これくらいはして当然...ふぎっ!?」
そして俺は落ち葉を盛大に顔面にぶっかけ、少し山になるくらいにかけてやった。
「ちょ、ちょっと待て!まさかこのまま行く気では無いだろうな!?この落ち葉をどける元気も無いのだ!きゃあ!?なんかお腹でもぞもぞ動いてるぅ!!」
「じゃあな、なんか食えそうなもの取ってくるわ」
少女の悲鳴を聞きながら俺は食べることができそうな物を探しにいった。
俺がたくさんのキノコと尻尾の長い流線型の生き物が寝ていたので石を投げると当たって動かなくなった。なのでそれを持ってきた。
帰るとあの少女の嗚咽が聞こえてくる。
「おい、戻ったぞ。大丈夫か?」
「......ごめんなざい。もう二度と偉そうにしないので許してくだしゃい」
泣きながら、少女が謝ってきた。なんだかものすごい顔になっている。
「い、いやいいよ。俺もやりすぎたな。ごめんな?」
「......ふっ......えぐっ......ご飯は?」
いきなりご飯って。実は対して傷ついていないのではないだろうか。
いや、それ以上にお腹が減っているということか。
「ほら、持ってきてやったぞ。これだ。食べれそうなものはあるか?」
「おお......ミータじゃないか。それにこのキノコとこれは食べれる...」
どうやらあの動物はミータというらしい。でもあれどうやって毛皮ととるんだろう。
「薪を集めてくれないか」
分かった、という変わりにそこに落ちていた木の枝を拾い集めて、薪っぽいのを作ってやった。
「ふぅ...『バーノン』」
と、少女が言うと炎がぽっと出て、燃え移って......
「な、なんだそれは!?すげえな!」
後書き
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