第26話 狂女と赤い月




赤い月の明け方にマリベルは笑う。





たくさんの屍を集めて

邪神を祀る祠に祈りを捧げる。



「ああ、邪神様・・・どうかどうかどうか私の前にそのお姿を現し下さい・・・」




・・・




「!?」




マリベルは近づく集団の気配を察知する。

ああ・・・そうでございましたカ・・・





さらに供物を用意せよという事ですね・・・







$$$








薄く灰色の霧のかかる薄暗い朝だった。

マリルリの目撃情報に近い位置にいるため部隊には緊張が走る。


「お互いを視認できる距離を保て!!」




・・・




じりじりと増す不安

「シンカ・・・近いよ」

ノワールさんの目が鋭くなる。




ぎゃあああああ!!!




布を切り裂く様な悲鳴が上がる。




駆けつけたその先には数人の死体と

ひとりの背の高い女性がひとり・・・

ノワールさんの爪をさっと躱して後ろに跳んで距離を取る。




ノワ「マリルリ・・・久しぶりだねぇ」





マリ「・・・あらぁ?・・・いけ好かない匂いがすると思っていたら、黒毛玉だったのですね」





長い髪・・・

黒く長い修道服・・・

大きな十字架を鈍器のように振り回す女性・・・

その細い腕のどこにそんな力があるのかわからない。


ただただそれは気味の悪い化け物の様に見えた・・・




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る