第4話 ゴブロウおじさん





優しいゴブロウおじさん・・・






どうやら俺は、ゴブリンの毒矢で動けなくなってた所を助けられたらしい。


「大変だったな坊主」

出されたおかゆを食べる。ダシが効いてて美味しい。




この方は『ゴブロウ』という名前でゴブリンの集落から追い出された『はぐれゴブリン』らしい。





ゴブ「それにしても・・・坊主は・・・ヒトなのか?」

「・・・」

改めて問われると・・・どうなんだろう・・・ソコんとこ・・・



ゴブ「そうか・・・記憶がないのか・・・んー・・・俺の見たところだとヒトに見えるな・・・顔色がすごく悪いから・・・ゾンビとかアンデットの類に見えなくもないな・・・もうちょっと身なりを整えた方がいいぞ」


・・・化粧したら絶対美人だよ 的な話にも聞こえる・・・そういう問題なんだろうか。





・・・





ゴブ「村の奴らを恨まないでくれよ。傭兵やら冒険者やらに仲間を殺されて気が立ってるのさ」


「・・・」


もしかしてこのゴブリン、ヒトに友好的だから追い出されたとか・・・


ゴブ「それもあるんだが・・・それだけじゃないんだけどな・・・ははは」




カラカラと優しく笑う。

この人は良い人に見えた。・・・あ、ヒトじゃなくてゴブリンね。





・・・




夕刻、




カシャン・・カシャン・・・金属音が聞こえた。




ゴブ「!」

ゴブロウおじさんの目付きが変わる。



ゴブ「おい、坊主・・・そこのわらの中に隠れていろ・・・絶対何があっても出てくるんじゃないぞ」


「?」

言われるがまま、わらの中に潜る




ギャアアアア



誰かの叫び声・・・

思わず わら から飛び出した。



5人程度の背の大きい人物たちに囲まれたゴブロウおじさんが血を流して倒れていた。

皆、鎧や剣、盾と仰々しい武装をしている。



「ゴブロウおじさん!」




「!」

「!」


「なんだ?この小僧・・・」

「まぁ、こんなところに居るのは魔獣に決まってるだろ?」

「じゃあ、殺しとけばいいか・・・」



ザシュ・・



あっという間に組み伏せられて

剣で心臓を突き刺された。




「おい、奴らの村はあっちらしいぞ」

「これで大金は俺らのものだ。ひゃはははは」




村を・・・村を・・・



ゴブロウおじさんの小さなかすれ声が聞こえた・・・

自分の周りに血だまりがどんどん広がって、意識が遠のいていく。




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