第2話 大きな黒猫
途方に暮れていた・・・
何も具体的な指示がないのだから当然だ。
『七つの宝石を集めろ』ってまず目的とどうやって見つけるかの方法を教えて欲しいな・・・
さらに言うなら、見つけた報酬なども先に提示して欲しい気がする・・・
日数がかかるなら、その際の寝泊りはどうするのか、食事はどうするのか・・・ちょっと言い過ぎかな・・・
仰向けに寝てぼーっと待つ・・・
何も起こらない・・・
わかった・・・あれか・・・そういうことか・・・自分でなんとかしろってことですか・・・
・・・
とにかくこの建物から出よう、他に人がいれば何か情報をもらえるかもしれない・・・
立ち上がる、体がダルかった、服もボロボロだった・・・
トコトコと歩いて出口らしき所を見つけた。
明るい・・・外だ・・・
ふと・・・横に首の取れた骸骨が転がっていた・・・
なんだ?・・・行き倒れ?・・・
ガシャンッ
そこに足を踏み入れた瞬間、何かがキラリと光って、視界が動く・・・自分の体と地面が見えた・・・あ・・・これ・・・首が取れている・・・罠に引っかかったんだ・・・
そこで意識が途切れた・・・
$$$
目を覚ますと・・・
建物の外に寝ていた・・・
あれ・・・今首が取れて死んだはずじゃ・・・首を確認する・・・取れていない。
気を取り直す。
ともあれようやく外に出た・・・
周りを見渡した。目がくらむような断崖絶壁が目の前に広がる。
この建物はどうやら断崖絶壁の上に建てられているらしかった。
風が強くて飛ばされそうだった・・・怖い・・・
ここから落ちたらぺしゃんこだな・・・
「おはよう、同士」
上方から声がする・・・足場が悪くて怖いが恐る恐る上を向くと・・・そこには・・・黒猫がいた・・
黒猫・・・黒猫・・・あれなんかこの黒猫大きくない?
そうだ・・・俺の知っている猫はもっと小さかった・・・
この猫は小屋か大きな馬車ぐらい大きかった・・・あわわ
「ふぁーーー」
大きなあくびをした猫は、呆れまなこで再び話しかける。
「君はなんだかとても鈍いんだね・・・なんなら下まで連れて行ってあげようか・・・」
$$$
大きな黒猫に咥えられて、すごい速度で断崖絶壁を駆け下りていく・・・
ひゅんとする・・・ひゅんとする・・・
森の近くまで来たところで降ろされた。
「さて、人間がいるところまで来たから・・ボクはここまでかな?」
「一緒に来てくれないのか?」
何となく一緒に居て欲しかった・・・この獣は味方のようだし・・・
「この図体で人里におりると目立つんだよね・・・」
「じゃあ・・・そのミニサイズに変身するとか・・・そんなことをすればいいのでは?」
「・・・」
「・・・」
「君ねぇ・・・質量保存の法則って知ってる?・・・そんなこと出来るはずがないだろう?」
常識外れの生物に・・・常識を諭されてしまった・・・
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