第23話

モールの端っこ、小さな店。やる気が正直感じられないような店構えで、ほんの少し、入りづらいと感じる。

「ここか。」

だが、それを気にも止めない我が長兄。その堂々たる振る舞いに便乗する。

「いらっしゃい。」

小さな店、そこにいた晴とナキ兄と年の変わらなそうな女性。

「和歌奈、さんですか?」

「ああ、もしかして三浦さん?さっき遥先輩から電話があった…。お待ちしていました。店長の和歌奈です。」

「こちらこそ、突然のご訪問失礼いたします。三浦奈月と申します。こっちは弟の愛希です。」

ナキ兄が挨拶をする。

「今回は、妹に一式雑貨をそろえてやりたくて。年の頃はこれと同じ。18です。趣味というものがあるのは百も承知です…。実際、僕が見ても彼女の好みはよくわからない。」

「俺も。」

やはり女の趣味はわからない。歩が好みそうなものはあるにはあるが。

和歌奈さんはクスリと笑って、

「でしょうね。」

「なので、妹を呼びたいと思います。すみませんが、彼女が気兼ねしないようにお値段のほうを隠していただくことは出来ませんか?」

ナキ兄の頼みに、

「営業中なので全部は無理ですが…。あのあたりなら。」

と、食器やら生活雑貨の置かれたあたりを視線で示す。

「ええ、もちろんです…愛希。電話。」

「はいよ。」

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