第21話

「ああ、この写真か…。朝妃に少し似てるな。藍子にも。」

写真を手に取ったらしい百奈さんの声がする。

「びっくりしたでしょう?アイ君。暁ちゃんはこういうのが出来てしまうのよ。」

「なんとなくわかってました…。」

アキ君の隠れチートっぷりは割と有名だ。だからこそあれだけの怠惰を隠さずとも、有能を疑われてはいない。どの生徒も一目置いている。

「兄さん面倒くさがりだから…」

「そろそろ話を戻すわね。」

「ああ、はい。」

俺の長電話にナキ兄がそろそろ不審げな目をむけている。片手で拝むと、ナキ兄は笑って頷く。晴じゃなくてよかった。晴だったらぶち切れの案件だ。

「そこのショッピングモールなら、ちょっとわかりづらいんだけど”和”っていう雑貨屋がおすすめかな。それほど派手でもないし、お値段も高校生にはちょうどいいんじゃないかしら。もっとも見せてみないとわからないから、個人的にはサプライズじゃなくて、歩ちゃんを連れていくことをお勧めするけれど。」

「そうですよね…。兄にもそう進言してみます。」

もともと俺はそう思っているのだが、兄二人が譲らない、という事情は話しても無駄だろう。

「無理なら無理で、店主の子に”永峯遥の紹介”って言ってみて?きっと便宜を図ってくれると思うわ。」

「恩に着ます。とりあえず行ってみることにします。」

「ええ。いいものが見つかりますように。」

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