目の前

久部 紗良

目の前

 薄紅色の身にきめ細かく張り巡らされた白。ついと刃を滑らさればかりの表面は、その身から出た脂と少しの水分できらめいている。下からのぞく張りのある白い粒にも伝い、一粒一粒を際立たせていた。厚みのある身が跳ねる。目の前に差し出された鮪を食べることもできず見つめていた。

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目の前 久部 紗良 @sarah-kube

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