第3話 カラスと話そう!

「しかしまあ、一時はどうなることかと思ったが、一応、礼だけは言ってやるから、ありがたく思え」

などと言いながら、その間もカラスは残りの弁当をパクパク食べ続けている。

本当に悪いと思っているのだろうか?

まあ、どうせ夢なんだし、弁当を盗まれようと喰われようと、どうでもいいことだが。

「それにしても美味いな、コレ。何て弁当なんだ?」

「あ、それ? それは鳥の唐揚げ弁当」

彼がそう言うと、唐揚げ弁当を食べていたカラスの箸、ではなく、クチバシは止まった。

そして、鳥ゆえのなで肩をワナワナと震えさせながら、

「な、何だと? ってことは、これは鳥の肉なのか? 鳥の肉の唐揚げだってのかぁ? よ、よくもオレに共喰いなんて残酷なことをさせたなっ! 何てヒドイことを! おまえは鬼か悪魔か人間かっ?!」

「人間ですけど…………って、動物から見て人間って、鬼や悪魔と同じなわけね」

人の弁当を盗み喰いしておいて、何たる言われようだろう?

ところが、

「ふむ、まあいいや。今回は助けられたから、大目にみてやるぞ。やっぱりありがたく思うように!」

言ってカラスは、さっきまでの激高もどこへやら、再び残りの唐揚げ弁当を食べだした。

「あ、共喰いでも喰うんだ?」

「いいんだ。ニワトリは憶病者で根性なしだから、オレは連中が大嫌いなんだよ。あんな連中は喰われて当然!」

「ニワトリって憶病者なんだ?」

「ふむ、憶病者だからチキンと言われているだろう!」

「………それって微妙に違うような?」

自信満々に言うカラスに、彼はどうにも釈然としないものがあるものの、夢の中の相手に無駄にツッコミを入れても仕方がないので、そのままにした。


結局、唐揚げ弁当を全部たいらげてしまったカラスは、クチバシの端に米粒を付けて、

「あー、美味かった。チキン野郎もオレ様に喰われて、さぞやあの世で喜んでいることだろう。生前は朝っぱらからうるさい憶病者も、死んでからはその骸も、誰かの役に立てばと願っていたに違いない。そして連中は食材となる道を選び、そして今日、オレの血となり肉となりクソとなった。これぞチキン冥利につきるというものだ」

「そういう言われ方をすると、かえって成仏できないような気もするけどな」

ははは、と笑いながら言うと、カラスはもう弁当に興味が失せたのか、次の獲物でも狙うかのような目で、彼の胸元を見つめていた。

「?」

どうやらカラスは、彼のカメラを見ているようだった。

まん丸クリクリの黒い目を細め、興味津々にカメラを凝視している。

(そう言えば、カラスは光るものが好きだと聞いたコトがあるぞ。レンズでも狙っているのか? それともカラスのくせに、このカメラの価値が分かるのかな?)

「おい」

「ん、何かな?」

「今どきフィルムカメラかよっ!」

「ほっとけっ!」

(所詮はカラスか。 やはりこの名機に価値など分かろうハズは………、)

「F3か。確かに名機と知られているが、もはや年代物だろ。やっぱ今ならD5だな。個人的には銀色のDFが好きだ。そもそもフィルムの方が画質どうこう言う輩もいるが、現像とか印画紙への転写とかいった途中経過がない分、デジタルの方が画質はシャープに仕上がるもんだ。細部の映りも35㎜フィルムにも劣らないぞ。

ってか理論上、解像度は今の一眼デジカメとフィルムカメラとはそう変わらないらしい。まあ、さすがにブロニーフィルムを使う中判カメラとかそれ以上のモノには及ばないがな。このクラスならマジで毛穴まで映るぞ」

(め、めっちゃ詳しいぃぃぃっ!!)

「ここでオレ様のうんちくコーナー! 写真関連メーカー、ミノルタの名前の由来は『実る田』からきてる」

(マジでぇぇぇっ?)

「ち、ちょっと待って! 何でそんなに詳しいの???」

「鳥類最強頭脳をなめるなよ。って、実は作者に聞いたんだけどな」

「ああ、アレだ。作者本人が勝手に本分中にしゃしゃり出て来るヤツ。前に同作者の『平成業物演武』でやって、一部で受けたから味を占めやがったな。未だにシリアス路線でいくかギャグ路線でいくか、作風ブッレブレのくせに」

「あの作品では作者のいたずらで、ヒロインがお嫁さんに行けない身体になってしまったとかならなかったとか」

「とんでもねぇ作者だなぁ」

(違うよぉ〜。あんまりヒドい事してないよぉ)

「何だ今の声?」

「いわゆるさくしゃの声ってヤツだな」

(パンツ見て、エアガンで撃って、修学旅行土産を騙しとっただけだよぉ)

「やっぱ外道じゃねぇか!」

「もー出てくんな!」

(シクシク。されげなく他作品の宣伝ありがとう)

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