粉について

・ギリ

弓道場には必ず二つの粉を置いてある。

そのうちの一つが「ギリ」という、きな粉みたいな黄色い粉。

七味の容器みたいなビンや、塩胡椒の容器みたいなやつに入れてあった。

原料は松脂まつやに

かけの上にふりかけて、「ギュッギュッ」と握って馴染なじませる。

動摩擦係数を下げ、静止摩擦係数を上げる、らしい。つまり、滑り止めと潤滑油の両方の機能を兼ね備えた魔法の粉マジックパウダー。すごいな、松脂!

名前の由来は、馴染ませるとき「ギリギリ」って音がするから、という説が有力。魔法の粉なのに、なんて安直な……。


筆粉ふでこ

もう一つの粉。こっちは押手につける。

タッパーに入っている筆粉に手を押し付けて使う。

汗で滑らないようにするためのもの、らしい。ギリ粉は皆が使うけど、筆粉は個人差がある。使う人はガンガン使うし、使わない人は全然使わない。僕はテーピングと弓を馴染ませるために使ってた。

どうやって作っているのか謎で、一度先輩に聞いてみたら「弓を燃やした灰から作っているんだ」って言われたけど、たぶん嘘だ。


※追記

筆粉は「藁を燃やした灰」だそうです。いただいたコメントより引用↓

「イネ科の植物には、天然のグラスファイバーが含まれているので、滑り止めになります。笹やススキで手が切れるのはこの為です。

ので、竹弓なら燃やした灰は筆粉になります。」


まじか……。あのとき先輩が言っていたのは本当だったんだ……!

完全に疑ってました! ごめん!!

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