午前11時22分 T-02にある総合病院 中央棟三階

 ヴェラ達が中央棟の三階に辿り着くと、彼女達が乗って来たエレベーターの前にトシヤが待っていた。彼もまた三人の姿を見付けると、小走りで駆け寄り彼等の無事を喜んだが、クラブマンが爆破された件と乗っていた二人の安否が分からない件が暗い影を落としていた。

「リュウから連絡は?」

「何度か呼び掛けていますが、まだありません。単に通信機の故障か、持ち出すのを忘れただけならば良いのですが……」

「最悪の可能性を考慮して動いた方が良いかもしれませんね……」

 スーンの声にぎこちない強張りが引っ付いており、二人の安否が気掛かりである事を物語っていた。しかし、今は目的の達成に専念すべきだとヴェラは自分に言い聞かした。

「トシ、大魔縁の連中はこっちに侵入しているかい?」

「いえ、殆どが先程のまま病院回りをウロ付いています。恐らく建物周辺を囲んでから、部隊を中に突入させる気でしょう」

「兎に角、DNAデータからクローンを作りましょう。それから二人を探して、この病院から離れる手段を見付けましょう」

 クラブマンを失ったとなれば、逃げる足も調達しなければならない。目的を一つ果たしたかと思えば、それ以上に課題が山積していく事実が目に見えない負担となり、彼等の疲労感をより一層増大させる。ヴェラも疲労を感じていないと言えば嘘になるが、それでも足を止める気は更々なかった。

 中央棟三階の通路に足を運ぶと、ガラス越しの部屋に最新鋭の医療関連と思しき装置が幾つか置かれてあった。だが、これらの中のどれがフラッシュクローン装置なのかは素人である彼等の目には皆目見当が付かない。

「スーン、装置がどんなものなのか分からないの?」

「待って下さい。先程フロアロビーのパソコンから手に入れた情報の中から……あった! これです!」

 スーンが差し出したパッドに覗き込むと、それは装置と言うよりも部屋一つが丸々機械と一体化したような映像が映っていた。短時間で人体の部位を生み出す装置なのだから、これぐらい巨大で当然と言うべきところだろうか。

「この装置が、この階の何処かに置いてあるという訳ね」

「こんだけデカけりゃ目立つだろ」

「スーン、絶対にDNAデータを無くさないでよ。ここで失ったら元も子もないわよ」

「ええ、分かってますよ。僕だって此処まで来た努力を水の泡に帰したくはありません。何が何でも死守します」

 スーンが固く誓う様に重々しく頷くと、ヴェラも彼の言葉を信頼したかのように頷き返した。そしてヴェラ、トシヤ、オリヴァーの三人はピラミッドの陣形を作り、その中にスーンを置いて三階の通路を歩き始めた。

 通路は非常灯の淡い橙色の光で満たされており、暗闇とは違う恐怖のアプローチを四人に投げ掛けていた。けれども、この程度の恐怖は彼等からすれば慣れっこだ。この中で一番臆病だと自負しているスーンですら、光が存在している事実に内心で感謝している程だ。

 幾多の部屋を通り過ぎ、突き当りの角を曲がった最奥に一つの部屋があった。他の部屋にあるスライド式の扉と異なる、分厚い鋼鉄製の鉄扉が。重要な何かを守るようなソレに関心を向けた四人は、小走りで鉄扉に近付いていく。

 ヴェラは鉄扉に備わっていた覗き窓を通して、部屋の内部を見通した。視界に映る装置と、パッドで見た装置とが頭の中で完全に一致するとヴェラは肩越しに頷いた。

「間違いない。此処だわ」

「よし、開けよう」

 オリヴァーが鉄扉に備わっていたハンドルを握り締め、アーマーの力を借りてグルグルと回し始める。数度回すとガシャンッと鉄のロックが解除された重い響きが伝わり、そのまま厚さ30センチはある鉄扉を引いた。

 部屋の中は天井と床を繋ぐ巨大な試験官が数本と、先程のDNAデータを入手する際に使用したのと酷似したコンソール、そして壁一面には幾つかのモニターとバイオセンサーが埋め込まれていた。これら全てが何の為に設けられたのかはヴェラ達も分からないが、兎に角クローンを作れればそれで十分だ。

「おお、正しくSF映画に登場しそうな怪しげな医療室って感じだな」

「問題は、そのSF映画に登場しそうな装置を操作出来るか否かって事ですね……」

「弱気になるんじゃないよ。人が生み出したものなんだから、人が作れるようにデザインされているに決まってるじゃない」

「ははっ、ヴェラさんの仰る通りですね。では、早速作業に取り掛かります」

 スーンがコンソールの前に付いて作業をしている間、ヴェラ達は広い部屋の中を見渡した。部屋の半分が装置に埋め尽くされている一方で、残りの半分は臓器を保管する冷却ケースや手術室とを繋ぐモニター画面が設けられていた。密接した連携を取る事で、移植手術をスムーズに進められるようにという試みが取られているのだろう。

 やがて目に入る物を一通り見終わると、オリヴァーの好奇心は臓器や手足を大量に保管する冷凍保管庫に向けられた。ホラーゲームや映画では、大抵こういう場所にとんでもないお宝や秘密が眠っているものだ……そう考えて彼は何気なく扉を開けた。

 すると扉が開くのと同時に彼の体に何かが凭れ掛かるように倒れ込んできた。視線を横にやればカチンコチンに氷結した男の死に顔がドアップで目に飛び込み、彼は「うわっ!」と叫んで凍死体を投げ捨てた。

「オリヴァー!? どうかしたの!?」

 ヴェラとトシヤがオリヴァーの叫びに反応して駆け寄り、彼の傍に転がる凍死した男の死体と開いた冷凍保管庫を交互に見て悲鳴の理由を理解し、呆れと非難めいた眼差しを悲鳴の張本人へと向けた。

「好奇心は猫を殺すと教わらなかったの?」

「い、いやぁ~。てっきり臓器だけかと思っていたが、まさかこんなにも新鮮な死体が入っているだなんて思っていなくてよぉ。あー、マジでビビった……」

「でも、この死体は一体誰なんでしょう?」

 トシヤが凍結した死体に歩み寄り、俯せ彼を慎重に転がして仰向けに寝かして胸元の名札を見遣った。そこに書かれていた名前を目にした途端、トシヤが弾けたように二人の方に顔を向けた。

「ヴェラさん! これを見て下さい!」

 トシヤの只ならぬ声色にヴェラも気持ちを引き締めて、彼が指差す死体の名札を覗き込んだ。そこに書かれていた名前は『シンヤ・ハザマダ』―――あの五芒星の一人であり、妊婦失踪の疑いが欠けられた容疑者の一人だ。

「この男がシンヤ・ハザマダ? 何でまた、こんな場所に?」

「さぁ、それは分かりません。ですが――」そこで言葉を切り、トシヤは彼の胸ポケットに入っていた万年筆に手を伸ばした。「これに隠されているかもしれません」

 彼が手に取ってヴェラに差し出したのは、ケンジ・トリイがしていたのと全く同じ万年筆型のボイスレコーダーだった。常温の空間に戻ったことで表面に張り付いた氷が解け始めているが、中身の機械を確認すると操作出来たので問題無さそうだ。

 そしてヴェラがボイスレコーダーの再生ボタンを押すと、そこから流れて来たのは今際の際に立たされた彼の遺言だった。


『これを聞いている人が居たら、恐らく私は既に死んでいるだろう。いや、そもそもこれを聞く人間が居るかどうかも危ういものだ。知っての通り、今日の日本はユグドラシルの暴走によって人造樹木の森と化した。そして森はまもりびとの巣窟となった。あの悍ましい化物共のね。

 話は変わるが私は災厄前から、この病院でとある実験を繰り返していた。妊婦にGエナジーを投与し、Gエナジーに耐性を持つ赤子を生み出すこと。何故そんな実験をするのか理解に苦しむ人が居るだろう。しかし、これは偏にある方が言った可能性を見たいが為だ。

 その御方はこう言っていた。ユグドラシルから生み出されるGエナジーは、新たな人類を生み出す起爆剤になると。そして新人類が誕生した暁には、荒廃した世界は救われ、再び穏やかな緑を取り戻すだろうと。そう熱心に語っていたよ、何度もね。

 だけど、勘違いしないで欲しい。彼の言う新人類とは、まもりびとを指すのではない。まもりびとを御する人間の事を指すんだ。私もあの化物の上に立つ人間のことを語る彼の狂った情熱と荒唐無稽な夢に引き込まれてね、彼の言う計画に協力したんだ。

 彼は言った。新人類を生み出すのはGエナジーの力を授かった、一握りの選ばれし人間だと。つまりGエナジーを付与されていながらも化物にならず、人間の姿を維持し続けた者のみが世界を統べる王になるという訳だ。これを聞いた時は矛盾していると思ったよ。Gエナジーを与えれば、どんな生物だってまもりびとになってしまうと言うのに。

 けれど、彼は既にその矛盾を打開する策を考えていたんだ。それが先程述べた妊婦へのGエナジー投与だ。妊婦にGエナジーを与えれば、十中八九母体はまもりびととなるが、胎児がGエナジーを栄養素として取り入れれば耐性を獲得するのではという考えを持っていた。

 その説明に強い好奇心を抱いた私は、すぐさま準備に取り掛かったよ。幸いにも私はGエナジー分野だけでなく医療分野における権威でもあったから、準備を行うに当たってこれと言った問題は無かった。

 また実験に必要となる妊婦を手に入れるのは造作もなかった。満足な教育を受けられないにも拘わらず子を宿してしまった貧困層や、不純な異性交流をして予期せぬ妊娠をしてしまった未成年の少女……どれだけ日本が豊かになっても、変わらぬ問題は幾らでもある。

 そういった人々に「助けてあげよう」「支援する」という見せ掛けだけの善意を繕って近付けば、あっという間に向こうは此方を信用してくれた。これで材料は整い、こうして私達二人だけの緑の子供達(グリーンチルドレンズ)計画が発動した。

 しかし、実験は困難を極めた。実際に私達が思ってたような成功作は出来上がらず、母子共々にまもりびとと化す失敗作の連続だった。その内に父やカツキ博士も我々の実験を嗅ぎ付けたのか、彼是と身辺を探り始めた。最悪父やカツキ博士を排除しなくてはならないかもしれないと考えた矢先に……この災厄が起こった。

 この災厄で東棟の地下にあった秘密の実験室は崩落し、最早誰も手が付けられない状態だ。あの厳格なことで有名だった父も、無残なまもりびとになってしまったし……ははっ、あれから逃げ切るのは本当に命懸けだった。

 結局私は成功作を目にする事は出来ず、失敗作を大量生産しただけだった。そしてクローン臓器の冷凍保管庫の前に逃げ込もうとしている。嘗てはGエナジーで称賛を得た科学者の一人の末路が冷凍庫で凍死とは、馬鹿馬鹿しくて笑えもしない。

 しかし、気掛かりなのはあのお方だ。これは災厄直前に気付いたのだが、私の研究データが幾つか抜き取られていた。こんな真似が出来るのは、あの方以外に考えられない。もし彼が私の実験を受け継ぎ、尚且つ成功作を生み出していたら……世界は彼が生み出した神の子によって支配されるかもしれない』


 長いボイスレコーダーから流れ出ていたシンヤの声がそこで終わり、ヴェラは複雑そうに顔を顰めながら万年筆に視線を落とした。そしてオリヴァーも扱いに困るような声色で呟いた。

「これまたとんでもない爆弾が落っこちてきたもんだな」

「妊婦にGエナジーを投与し、Gエナジーに耐性を持たせる子供を生み出す。それがまもりびとを統べる王となる……。マサル・ホンダが求めようとした、まもりびとを制御する方法と何か関わりがあるんでしょうか?」

「どちらにしても、この世に存在してはならない実験なのは確かね。問題は、このシンヤが言っていた、“あの御方”とやらが誰を指しているか……」

 少なくともケンジ・トリイは向こうの研究所に付きっ切りだから関係無いだろうし、カツキ・セラもシンヤの行いに疑惑の目を向けていたので違うであろう。となれば、残りはマサル・ホンダと――――。

「ヴェラさん、五人分のクローンの準備が整いました」

 そこでスーンが三人を呼び掛け、それに反応して彼の傍へと駆け寄れば、コンソールの画面には五人分のDNAデータと共にそれぞれの顔写真が乗せられていた。ケンジ・トリイ、マサル・ホンダ、カツキ・セラ、シンヤ・ハザマダ……そして自分達の知らない五芒星最後の一人の名前を見て、ヴェラが無意識に彼の名を呟いた。

「アキラ・オダ……」

 画像の写真は当時の顔写真だろうか。皺塗れになった饅頭のような顔をし、黒いサングラスを掛けた姿は研究員と言うよりも熟練詐欺師を思わせる。その一方で彼の生年月日を見ると、他の五芒星の構成員よりも30歳以上も齢が抜きん出ており、もしかしたら五人を取り纏める長老格なのかもしれない。

「年齢からすると既に90を超えているのね。仮に今も生きていたとしたら……100歳を切っているわね」

「流石に生きちゃいないだろ、この状況じゃ……」

 オリヴァーのボヤきに誰もが首を縦に動かした。が、ヴェラは彼の顔写真を見て何かが引っ掛かった。その引っ掛かりが何なのか分からないが、何か分からないからこそスッキリとしない気持ち悪さが心の奥底にあった。

 しかし、流石にデータ上の年齢が嘘だとは思え難く、事実と仮定するとやはり彼は今回の計画に関わっていないと見るべきだろう。

「この五人のDNAデータからクローンを作りますね」

「ええ、任せたわよ」

 スーンがコンソールの上に指を走らせると、目の前にある試験官の中に無数の気泡が下から上へと昇っていく。程無くして気泡の中に小さい輪郭が現れて、徐々に輪郭が大きくなっていく。やがてそれらは目となり手となり、人間の部位として完成する。

 そして完成した目と手はバイオ液と共に試験官を下っていき、機械を通って冷凍ケースに保管された状態でヴェラ達の前に現れた。その後も順調にクローンが作られて行き、遂に五人分が完成すると部屋にあったクーラーボックスに纏めて詰め込んだ。

「さて、これで完成したけど……あとはミドリとリュウだけね」

「そして逃げる算段も立てないとな」

 ああ、そういえばクラブマンも破壊されたんだっけ……すっかり自分達の足が失われた事実を忘れていたヴェラが、そう言葉を返そうとした時、通信機から耳障りな砂嵐が流れ込んできた。

 突然の砂嵐にヴェラが顔を歪めるも、程無くしてそれが晴れ上がり、飛び込んできた声を耳にした途端、彼女のみならず誰もが驚きを露わにした。

『おい、聞こえるか!? 俺だ!』

「リュウ!? アンタ、今まで何処に居たの!? ミドリは無事なの!?」

 それは行方知らずになっていたリュウヤであった。彼の無事を知ってホッと安堵する一方で、今まで連絡が取れなかったのはどうしてなのかという疑問が頭に込み上がるが、彼は早口に言葉を捲し立てて此方の質問を尽く無視した。

『心配掛けたし怒る気持ちも分かるし、俺だって事情を説明したいが今は時間が無い! 兎に角、俺の話を聞いてくれ! 大魔縁の連中が襲ってきやがった! 今はミドリと一緒だ!』

 ミドリが無事だと分かり、ヴェラは肺の奥底に残っていた不安を溜め息にして長く吐き出した。彼女が無事だと分かっただけでも不安は大きく和らいだが、それでもまだ病院の何処かに居る二人の安全を確保しない限りは安心だとは言い切れない。

「ええ、知ってる。トシヤが見てたの。大魔縁がクラブマンを破壊する場面をね。でも、どうしてクラブマンに残って徹底抗戦しなかったの? 武器はあった筈でしょ?」

『抗戦もしたさ! 出来得る限りな! けど、弾数が少なくなってきた上に連中の狙いを知って、クラブマンに残り続けるのは危険だと判断した! だからミドリと一緒にクラブマンから抜け出たんだ!』

「狙い? 貴方を誘拐すること?」

 連中の狙いは自分達の抹殺と、元NG社の研究員であるリュウヤを捕獲する事だった筈だ。他に狙いなんてあるのかと思っていると、思い掛けない爆弾が投げ込まれた。

『ミドリだ! 連中はミドリを狙っているんだ!!』

「ミドリ!? 何でミドリが大魔縁に狙われるのよ!? あの子はまだ赤ん坊じゃない!」

『そんなもん俺が聞きたいぜ! 只、連中はミドリを神の子と呼んでいる! あと世界を救う鍵となる者とか!』

 神の子? 世界を救う? その言葉に四人は互いに視線を重ね合わせた。ヴェラ達が聞いたボイスレコーダーにも、似たような趣旨の言葉が録音されていた。様々な情報が一篇に頭の中に鮨詰めにされて頭痛がし始めたが、ヴェラは何とか聞きたい質問を口から絞り出した。

「ねぇ、ちょっと待って。一つ聞きたいんだけど、ミドリはアンタの子供じゃないのかい?」

『は? あぁ、そういや説明してなかったっけか。俺とミドリは何の血の繋がりも持っちゃいない赤の他人同士だよ。お前さん達と出会った時、まもりびとから逃げる最中に偶然泣きじゃくる彼女を見付けて拾ったんだ。名前だって、この子の服に刺繍されていた名前を呼んだだけさ。俺は列記とした、清らかな独身者だよ』

 てっきり甲斐甲斐しく世話をしているものだから本当の親子だと思っていたが、まさかの赤の他人だったとは。しかもミドリがボイスレコーダーに残されていた、緑の子供達計画の完成体だとしたら、益々状況は混沌に向かうばかりだ。衝撃的な情報が続く余りショックを受けつつも、ヴェラは頭を振って気を取り直した。

「と、兎に角……アンタは今何処に居るのよ?」

『病院の中だよ。クラブマンを無くしちまったからな。代わりの足となる乗り物を探してたんだ』

「で、その足は見付かったの?」

『ああ、救急車を発見した。俺達全員が乗って移動するには十分だろう。既に車の鍵も見付けてある。もしそっちの作業が終わったら、直ぐにコッチへ―――』

 そうリュウヤが言い掛けた時、ガタンッという物音が通信越しに聞こえて来た。暫しの沈黙の後、『何だ、今の音は?』と呟く彼の声には不安と焦りが充満していた。

「リュウ、待ちなさい。先に今貴方の居る場所を言いなさい」

『あ、ああ。場所は中央棟の北口を抜けた先にある病院の裏口だ。無傷の救急車を見付けたから、一先ずミドリはそこに……ま、まもりび――――』

「リュウ!? リュウ!!」

 急に怯えを纏ったリュウヤの声が言い終わる前に、ガシャンッと無線機が床に叩き付けられる音が鼓膜を強く叩いた。そして遠くから人間の悲鳴が聞こえ、最後はブツリと音が途絶えた。只ならぬ事態であるのは言わずもがなであり、ヴェラはすぐさま全員の方へ振り返った。

「皆、急いで下に行くよ!」

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