第8話絡まれました。
皆さんこんにちわ。魔王の娘のセレスです。
私は今、どういう訳か人目の付かない路地裏で厳つい人族の男性二人に絡まれています。
一体何故でしょうか?
うーん。考えても思い当たる節がありません。
男性二人が何か凄んだ顔で私に迫っていますが今は放っておいて、状況を整理したいと思います。
あれは確か・・・・・・。
☆☆★☆☆★☆☆
私がエリスさんからジト目で見られた後、何とか依頼を受理してもらい詳しいマール砦の場所も聞いた後でした。
私は折角人族の街に来たのだから視察も兼ねて色々と人族の暮らを見て回りました。
ええ。そうです。ハッキリと申しまして観光がしたかったのです。
ただ1つだけおかしい事が起こるのです。
私が買い物をする度に人族の方々は一様に驚くのです。
場合によってはお釣りが足りないので、と商品を買うことすら出来ないのです。
何故でしょうか?
私が何店舗か回った後位からでしょうか。
私がいく先々で同じ方が私の後を付いて回って来るのです。
何か私の勘違いかもと思い気にせずに歩いていたら、いつの間にか人通りも少ない道を歩いていました。所謂路地裏というやつです。
先に断って置きますが、決して迷子になった訳ではないですからね?
好奇心旺盛な私の街の中探検ですからね?
ただ来た方向と帰り道は覚えていませんが。
まぁそんな事はさて置いて、路地裏の通りを歩いていると、又もや同じ方が私の後を付いて来るのです。
すると、私の後を付いて来たから私に声を掛けて来ました。
「そこのお嬢さん、こんな薄暗い路地を歩いているとガラの悪い連中に襲って下さいと言ってる様なもんだぜ。特にこの辺りは治安が悪いからなぁ~。」
私が声を掛けられ振り向くと如何にも悪そうな顔をした厳つい人族の男性がニヤニヤと下卑た笑みを浮かべてました。
私とした事がいけませんね。例え敵対している人族で在ろうと見かけだけで判断しては。
けれどもあの顔は・・・何でしょうか?こう・・・生理的に受け付けない顔をしているというか何か見ているだけで腹立たしくなる顔をしています。
「そうなんですね。ご忠告ありがとうございます。それじゃあ。」
私は一応お礼をし、男性を横切ろうとしました。しかし、男性は足で壁を作り私の進路を塞いでしまったのです。
「おいっ!」
男性が声を掛けると、反対側から別の人族の男性が現れました。こちらはこちらで先程の生理的に受け付けない顔の方とはまた違いますが、どうにも好きにはなれそうもない顔をしています。
ええ。そうです。どちらの方も嫌いな顔をしています。
それにどうやら私は両方の進路を塞がれ、挟まれてしまった様です。
私は何かしたのでしょうか?全く身に覚えがありません。
そんな事を考えてますと私の進路を塞ぐ男性が凄んで来ました。
「なぁ、お嬢さん、あれまだあるんだろう?痛い目に遭いたくなければ、全部俺達に寄越しな。そうすりゃあその後、俺達がお嬢さんも可愛がって気持ち良くしてやるからよ!へへッ。」
そう言うと男性二人は下卑た笑いを浮かべています。何でしょうか。ちょっと腹が立って来ました。生理的に受け付けない顔を見ているだけで苛々します。
所でアレとは一体何の事でしょうか?
串焼き肉の事でしょうか?それとも果物串の事でしょうか?それか先程食べてしまった揚げたての揚げ物でしょうか?
どれも美味しかったですね。お城にいたら到底食べる事が出来ない物ばかりです。
私が食べた物の味の余韻に浸っていると、男性が痺れを切らして怒鳴り出しました。
「良いから早くルビーを出せっ!他にも宝石を持ってんだろーがっ!あるだけ全部寄越しやがれっ!」
ルビー?あぁ紅玉の事ですか。今、全部よこせと言いましたか?これは私の物ですし、私のお小遣いですよ?それを寄越せと?人族の分際で魔族でしかも魔王の娘である私をこの方達は脅しているのですか?良い度胸です。
男性達は私を拘束しようと前後から近づき手を伸ばして来ました。
私がほんの少しだけ怒り、周りの空気が変わっている事も知らずにです。
本当無知な方達ですね。
私は小声で唱えます。
「影通し」
私は男性達が手を伸ばすとほぼ同時に影の中にスッと入り生理的に受け付けない男性の裏へと回り込みました。
「なっ!?消えた!?何処行きやがった?」
男性達は辺りをキョロキョロと見渡しています。
私は後ろへと回り込むと姿を表すと同時に今度は別の魔法を唱えます。
指先をパチンッと鳴らし、電流を相手に流します。
「雷痺」
「ぐあっ!ぐえっ!」
男性達は電流を流し込まれ全身が麻痺し、身動きが取れません。
さてと、一体どうしてくれましょうか?
「いっひゃいどぉなっひぇひゃがる!?」
(一体どうなってやがる!?)
「う、うごへなひ!?」
(う、動けない!?)
男性二人は自分の置かれている状況が今一理解が追いついて無い様ですね。
「分かりませんか?貴方達は私の魔法で全身が麻痺して動けないんですよ。勿論舌も痺れていますから上手く話も出来ないですしね。」
「なっ!なんひゃと!?」
(なっ!何だと!?)
「ふひゃけるなっ!はひゃくもどぉひぃひゃがへ!」
(ふざけるなっ!早く戻しやがれ!)
「はぁ。貴方達は自分の置かれている状況が全く分かっていないのですね。それに元に戻したら私を襲うのでしょう?私はそこまでお人好し(この場合魔人好しですかね?)では無いですよ?」
「うるへー!はひゃくもどぉひぃひゃがへ!」
(うるせー!早く戻しやがれ!)
「ぶっころひへひゃる!」
(ぶっ殺してやる!)
男性達は愚かにも自分達が不利な状況にも関わらず、あまつさえ私に暴言まで吐く始末です。
本当どうしましょうかね?この方達。
あっ!そうだ!このままにしておくとまた襲われるかも知れませんし、もしかしたら他に仲間も呼ぶかも知れません。
じゃあ!する事は1つしかありませんね!
殺っちゃいましょう!それもバレない様に。
私はこの二人に消えて貰う事にしました。
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