第3話 ダンジョン階位33位クリア
俺達はルシローラ廃道というダンジョンに居たのだが道が入れ混じって居るのでこれは廃道よりも迷宮と言える、そのダンジョンの中で俺達は彷徨っていた。
「なぁアテナさお前にダウジング能力なんて」
「ないわ」
「ですよね」
改めてご紹介するが只今歩きながら創造神アテナに「探索機能とかないか」と聞いているのは主人公の天城青空だ。高校を中退し働くこともせず、しかもアニオタニートという社会のお荷物になった主人公はある日、猫を助けた代わりにトラックに跳ねられて即死する。そしてアテナと共に異世界転生して今にあたる。
「なぁ・・・ちょくちょく口笛吹くのやめてくんね?」
ダンジョンはいつ敵が来るのか分からない。その緊張をぶち壊すように魔法のステッキをクルクル回しながら呑気に口笛を吹いているのは第2の主人公創造神アテナ。元は死者を導く女神と思っていたのだが創造神という素晴らしい職業の持ち主という。
「ねぇソラ、このダンジョンループしてるわ」
「は?何言ってんだ」
俺は階段を降りながら答えているとアテナは俺より先に広間のでかい壁の前に立って「ここ怪しいわね」と言いながらパントマイムしているように壁を触っていると・・・
「なんだなんだ!?」
急に地面が揺れて俺は尻餅をつく。そしてゴゴゴゴゴゴゴ!!という音と共にアテナが触った壁が開いた。
「ほら、じゃあ進みましょう」
アテナの魔法のステッキは光とともに腕から消え、俺の手元に来た。
「おい?アテナ・・・」
俺はアテナの行動に驚いていた。急に魔法のステッキを俺に渡し、長い髪を1つに束ねていたから。
「ダンジョン攻略に髪が長いと邪魔でしょう?」
アテナのその表情は自信がありそうな顔だったがその反面緊張しているように見える。
「氷の精よ我の体に力を!!リース・エル・リグネス」
魔法の言葉を言い終えたアテナの手のひらには氷の結晶が乗っていた。アテナの手の結晶から放たれる冷気に俺は体に「寒さ」を感じる。
「さあ、ソラ私の体に憑依しなさい。」
アテナは手のひらに氷の結晶をのせた状態で振り向く、そのアテナの変わり果てた顔に俺は「お前・・・」と小声で言う。アテナの目は光の無い赤目&碧眼に透き通るような白い肌。俺から見て今のアテナは「雪女」みたいだった。
「わ、わかった・・・ロート・エクリプス」
そのアテナの姿に恐怖を覚えた俺は震えながら憑依するとアテナの手の冷たさに驚いていた。
〈いい?ここからはソラの出番よ〉
俺の心に語り掛けてくるアテナに「ああ、分かった」と言うと手を握りしめて先程開いた隠れ廊下を歩く。
(ここにはスケルトンが居るな)
手を数回握りしめるがアテナの体に宿る冷気はまるで死体のように温もりはなかった。
「フリーズ・フィールド!!」
その摩訶不思議なアテナの魔法は詠唱した瞬間にスケルトンが彷徨う廊下の中を凍らせるがさすがに全員は凍らず数人残ったスケルトンは俺の存在に気づいて走ってきた。
「うぉぉらぁぁぁぁ!」
アテナは迫りくるスケルトンに氷のパンチをお見舞いするとみるみるスケルトンの体は凍り、そして氷の欠片となり砕け散ったスケルトンの屍を越え、アテナは大きなドアの前に立つ。
「いやまて作者。アテナじゃねぇぞ」
現在進行形でソラはアテナの体を使っているわけだが実は持続時間は30分なのである。
〈ねぇそろそろ返してもらえない?私の体〉
残り15分だが大きなドアがあると言う事はボス戦があるということだ、アテナに体を返して俺は自分の体に戻ると何故か15分前に居た広間に居た。
「めんどくせぇな・・・」
俺は来た道を再び駆け抜けて大きなドアの前に立つとアテナは
「あわわわわ私こういうの初めてなのよ・・・」
そう言いながらステッキを杖にし足を震えさせている。
「今更言うなよ・・・なに死に戻りとか嫌だからな?」
俺はそう言いながらドアを開けるとそこには池があった。
「流石洞窟階位33位っすね。さてあそこの光に立てばゴールだろ」
俺はそう言いながら池に足を入れる、膝下まで濡れたがここは安全だ、と俺はそう思っていた・・・が、そんなに簡単にゴールさせてくれないだろう。何故ならダンジョンにはボス戦があるのが基本だからだ。
「ん?何だこの音」
足元からプクプクという音がしたので俺は下を見るとそこには人食い花のでかいバージョンが居た。
「まてまてまて!死にたくない!」
それを見た俺は必死にアテナの方に走るがもう間に合わない・・・
「アテナ様ー!アテナ様ー!助けてください!!」
俺はアテナに助けを乞うと「仕方ないわねアニオタニート!」と言いながら俺をテレポートさせてくれた。ちょっと悔しかったが今回は我慢することにする。アテナの魔法によりアテナの横にテレポートした俺は息を切らしていた。まあアニオタニートだったなら運動なんてしないだろうし・・・
「助かった・・・てか今度からは運動しよ・・・さて」
池から顔を出した人食い花さんは3匹のお供を連れていた、涎なのか水なのか分からないが俺達は運悪く食事タイムに来てしまったらしい・・・そして部屋に入ったときにさしていた光は何かに遮断されていて部屋は薄暗かったが戦闘に関しては問題はないだろう。
「ふふ・・・フハハハハハ!俺の出番だな!」
俺は気味悪い笑い声を上げる。こういうボスは何回もゲームで闘っているのでパターンなどは把握済みなのである・・・でもここは「ゲームの世界」ではない、一応現実世界だということを忘れないでほしい。
「ねぇソラさん?あなたのゲームのパターンは通用しないと思うんですけど・・・」
アテナは青ざめた顔で言ってくるが余裕を持っている俺はそのまま逃げようとはしなかった。なんせ1面のボスは雑魚そうだからという言い訳で勝算はありそうだと自分で思っていたので。
「あわわ・・・ソラさんあれ・・・」
もう絶望を見ているような顔でアテナは指さすとそこにはもう「いただきます」状態の人食い花がいた。
「もうアテナさ、なんだよ?」
俺は老人から貰ったバックの中から何かを出そうとしていたのだが先程からアテナの様子がおかしいので振り向くとアテナが「あれ・・・」と言いながら指している方を向くと、口に何かを溜めていた人食い花が居た。
「嘘だろ・・・避けろアテナ!」
俺とアテナは回避行動に移ると人食い花は俺達が居た場所に向けて溶解液を吐き出してきた。
「ひえええええ・・・」
ベチャ!って音と共に解ける音が鳴った、そしてその音共に解けた地面に怖がる俺とアテナ。あと少し行動が遅れていれば2人一緒に「YOUR DIED」は確実だった。まあこういう人食い花は地面に生えている爆弾花が有効的なのだが・・・
「あ、あれ!」
アテナは何故か地面に咲いている爆弾花を見つけたらしい・・・これは勝てるッ!とフラグを立てる。
「ナイス!おい化け物いいよ来いよ!」
俺は淫夢用語で煽りながらアテナから受け取った爆弾花を人食い花に向かって投げると浮遊している爆弾花を「食べ物」と勘違いしたのか人食い花は食べて咀嚼し始める。そして口の中から爆発音が鳴り、俺達が居た所まで人食い花の血(?)が飛んできた。
「うげぇ・・・気持ち悪」
床に飛び散った人食い花の血(?)を見て俺は気分が悪くなったが唸り声をあげながら人食い花は煙となって消えていってしまいには静まりかえった部屋に何かが光と共に俺の前に現れた。
「石板?」
謎の地図が彫られた石板が手に入り俺はアテナに見せるがアテナも分からないらしい。だがこれは後々使うと思い俺は石板をバックにしまう。
「さて、帰ろうか」
俺はバックを背負い部屋の真ん中に現れた光の柱の真ん中にアテナと立つとダンジョンの入り口に戻ってきた。
「・・・ふぅ、転送された町に戻ろう」
「そうね・・・疲れた」
俺は一息ついてアテナを見るともう気持ちが萎えていたのだが「頼む」とアテナに言うと無言で転送された町へと戻っていった。
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