第2話 健全(キリッ)

創造神アテナと共に異世界転生をした俺は完全身体憑依能力「ロート・エクリプス」を削除し俺の体に戻る。


「うう・・・これは最後の手以外は使わんぞ」


ロート・エクリプスは憑依する代わりに酔うらしい。俺はそんなの嫌なので使うのは本当に危ない時以外使わないと決心した。


「ひっくひっく・・・」


俺の隣で何故か泣いている創造神を見て俺は長くため息をつく。


「いいから立てよ?来ちゃったのは仕方ないじゃん」


「仕方ないですって!私を憑依して連れてきたのに?」


確かにそれは言い返せない。だが俺の事を馬鹿にしたのも悪いだろう、まあどっちもどっちだ・・・


「憑依は悪いと思うがお前が俺を邪険にするからだろ!!!!」


俺はあの言葉さえなければそのまま転生するはずだった。


「ニートと違って私の仕事は忙しいのよ!」


「ニートだってな!忙しいんだよ!」


とお互い譲り合わず納まらないケンカ。そしてその喧嘩はとある老人によって終焉を迎える・・・


「創造神アテナ様ですか!?」


老人はたまたま通りかかった所でアテナの姿を見てなんか「運命の人に出会った」という感じの顔で近づきそして祈りを捧げるポーズを取る。だがその老人に対しアテナは何をすればいいかわからなかったようだ、神様のくせに。


「え~っと・・・」


俺は慌てているアテナに「しっかり」と目で合図を送るとアテナは「分かってるわよ」と返してくる。


「我こそ創造神アテナ!この世界を作った神である。さあ汝の願いを言いたまえ」


手を腰に当てて上から老人を見下ろすその姿は神様みたいだった。俺を邪険にしたアテナは何処に行ったのか?と俺は思ってしまった・・・。その一方でアテナに向かって祈っている老人は「アテナ様、私たちの街のダンジョンを作ってください。」と小声でアテナに言っていた。


「おじさん、ダンジョンここにあんのか?」


俺はダンジョンの事について聞くと「ああ、あるとも」と頷きながら言ってきた。


「では・・・その話を・・・時は2000年前に」


「短めにな」


俺は老人の長話には興味がない。俺の不意打ちに「くっ・・・」と老人は怯んでいた。


「2000年前にここに勇者エリシオン・ロウ・サンタウロスと言う奴がダンジョンを作った。」


今度は簡潔すぎてわからなかったがまあよしとする。俺は老人に対し質問をした。


「なら何故冒険者が少ないんだ?」


老人は「それは・・・」と言って間をあけると俺は大体の返事は予想できた。


「簡単すぎて冒険者が来ないのか」


その俺の予想が当たったのか老人は目を見開き、「そうじゃ!ダンジョンが簡単すぎるんじゃ」と言ってきた。


「あ、そうだ私は創造神だからダンジョン作れるけど条件があるの」


アテナが思い出したように言うとそのアテナの言葉に俺と老人は同じタイミングで「なんだ!」と言うとその圧力に負けたのかアテナはその後何も言わなかった。


「コホン!さて本題なんだけど条件は3つ。1つ目は物を触るか見ること、2つ目はダンジョン作成については何階にするか、細かな設定を追加すること、3つ目はコピーする際はクリアか解決させること。今回はダンジョンだからクリアしない限りコピーアイテムは使用できないの」


簡単に言えばアテナの言い方はこうだ「ダンジョンをクリアしない限り触ったり見たりしてコピーしたアイテムを使用できないためダンジョンをクリアしない限り無理」ということ。


「はぁ!?何十年かかんだよ」


ダンジョンが100くらいあると予想して全部クリアする前に俺は骸骨状態だ。しかも俺はダンジョンで彷徨うスケルトンみたいにはなりたくない。


「まあでも、ダンジョンをクリアしなくても何も書いていない巻物があれば作れるけど今みたいにつまらないダンジョンになるよ?」


「なら形だけ作ってあとからトラップを作ればいいんじゃないか?」


「ええ、それでもいいんだけど1度作ったら新たに作らない限り部屋とかトラップの手直しは出来ないわよ?まあ新たに部屋は追加できるけど。」


衝撃的な発言。そのアテナの発言に老人と俺は凍りついた。


「ちょっ・・・おま・・・お前ぇぇぇぇ!」


その言葉に俺はアテナの胸ぐらをつかんだ!


「やめてよソラ!てかなに?セクハラ!?この場に及んでセクハラなの!?」


顔を赤くしたアテナが俺に対抗してくるがこう見えて俺は柔道と剣道をしていた。


「はぁ?お前にそれ言われる筋合いはないんだよ!てか先に言えこの駄創造神め!」


俺はアテナを背負い投げをしようとするがアテナはそのパターンを読んでいたみたいであっさり避けられた。


「はっ!アニオタニートのくせに私に対抗するなんて114514年早いのよ!」


「やめろ!健全な読者が目覚めるから!!!」


健全な読者はこのネタを知らないほうがいい(自己責任)嘲笑うように俺を馬鹿にしてくる+爆弾発言をするアテナのせいで仕方なくまた「ロート・エクリプス」をすることにした。


「またかよ・・・ロート・エクリプス」


何故アテナが避けないのかは訳がある。「ロート・エクリプス」の闇の霧は俺以外見えなくてアテナでも絶対に避けられないのだ。


「え?まさか・・・ソラサン?」


そのチート級の能力の代わりに俺の体は隙だらけ+酔いというデメリットしかないのであまり使いたくない。そして俺の体が急に力が抜けたように倒れこんだことにアテナは気づいたのが最後もうアテナの体の支配下は天城青空にある。


「はっはっはっは!どうだアテナ!これが俺の最終形態アテナソラだ!」


(やめてぇぇぇぇ!)


ロート・エクリプスによって体と意識を乗っ取られた人は体はそのままだが声と目の色などなど・・・詠唱して展開した術者のデータが体に一時的にコピーされる仕組み。


「ロート・テレポーター!」


アテナ(ソラ)の魔法のステッキを召喚して地面に突き刺すと光の輪がアテナを包み込んで次の瞬間その場からアテナは消えた。


「何だったんだあいつら」


老人は心の中でそう思っていた。


ーーーーーーーーーーー


一方アテナとソラは・・・


「うう・・・私の体に何を・・・」


未だに泣いている創造神アテナに対し俺は・・・


「なんもしてないからな!!」


と誤解を解くとは言わないが(少し触った)突っ込んだ。


「ここどこ?」


俺は憑依した時、アテナのステッキを使い「ロート・テレポーター」でランダム瞬間移動した俺達はどこかの中に居た。


「・・・・洞窟よ」


泣き止んだのか涙を拭いながら言ってくる。


「ルート・マップコード」


ヒュイインという音と共にこの洞窟の3D地図がアテナの手に大きく表示された。


「ここはダンジョン階位33位 ルシローラ廃道よ」


「なんだそのダンジョン階位って」


俺はアテナに聞くと呆れた顔で「だからアニオタニートは」と言いながら語り始めた。


「ダンジョン階位はダンジョンの難易度や入った冒険者数などでランキング形式で出るのよ。今1位なのは天空の街エルトレスの聖レリーナ洞窟ね。」


ペラペラ悠長に語るアテナに「創造神アテナと言い知識が豊富すぎではないか」と疑問に思ったが言わなかった。「でも・・・」と悲しそうな顔で言っていたアテナに俺は顔を俯かせる。


「でもそこは神秘的の洞窟らしくて私も行きたいのよ」


・・・心配した俺がバカでした。


単なる「そこに行きたい欲」にまんまと騙された俺はダンジョンの入り口へと歩いて行った。


「さあてダンジョン攻略に行きますかぁ!」


俺は装備なしのままでダンジョンへと足を踏み入れた・・・ボスが『アレ』だと思わずに・・・

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