独りの夜

私はいつも貴方の声を聴いて眠りにつく。


貴方の声は少し高めの落ち着く声で、私が一番好きな声。


貴方がいない夜は独りで音楽を聴きながら眠る。


好きな音楽も貴方がいないとなんだか色無く感じてしまって貴方がとても恋しくなる。


独り冷たい毛布に包まって早く寝ようと羊を数えても、いつの間にか貴方の事を考えてしまって寂しくなる。


眠れないまま時間が経つとだんだん独りが怖くなる。


貴方の周りには私よりももっと素敵な女性がいっぱいいるから私を捨てるんじゃないかとか


つまらない私に飽き飽きしているんじゃないかとか


今夜は他の女性と夜を一緒に過ごしているんじゃないか、とか。


終わりのないマイナスな妄想は膨らんでいって、私は涙を流してしまう。


抑えようとしても溢れて溢れて止まらない。


貴方の性格をわかっていても、嫉妬心の強い私は疑心暗鬼になってしまう。


貴方ほど愛せる人はいなかった。


貴方ほど私を愛してくれる人もいなかった。


いつも飽きられたり、目移りされては塵の様にポイと捨てられてきた。


体調が悪い時も、心配なんてしてもらえなかった。


私が貰えたのは心に突き刺さる暴言と体に沢山の傷をつけた暴力だけ。


愛情なんてなかったんだと思う。


きっと恋情すらも。


そんな人達との過去を持つ分、大事にしてもらえる今に、貴方に依存してしまうんだろう。


独りの夜は長くて、暗く深い海の様。


いっその事、過去も私も全部飲み込んでくれればいいのに。


ずっと夢を見て、眠っていられたらいいのに。


貴方と私、互いの愛情がずっと続けばいいのに。


独りの夜は寂しくて、怖くて、貴方を恋しく思っては海の様に私を深い眠りへ誘う。


嗚呼、今日も私は貴方のいない独りの夜を過ごすのだ。

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