第11話 邪魔者
昨日はデートに誘うつもりだったが、1人でクリスマスの準備をしていたエルの気持ちを考えたら言えなくて、やっとの思いで夜に誘う事ができた。
「クリスマスにデートなんて初めて。ありがとうルーフス」
エルは今までにないくらい素直に喜んでくれた。
と言う事で今日は朝から初めて2人きりで出かける。
朝とは言ってももう午前10時を回ろうとはしているが、エルは未だに支度をしていた。
さっきちょっと覗いてみたら、服を着ては考え込んでまた違う服を着る。
その繰り返しだった。
それがかれこれ2時間。
そろそろ待つのにも飽きてきた頃だがエルの支度はなかなかに殺気立っていたので、口を挟めるわけもなくおとなしく廊下で待つ事にする。
今日の初デートはエルの希望で遊園地になった。
エル曰く、初デートは遊園地がいいとずっと夢見ていたらしい。
そこらへんがまだ子供で、私に契約で彼氏を望んだ少女とは思えない。
それよりも、昨日エルがサキュバスと一緒にいたとは・・・。
あの時私はエルの帰りが遅いのとデートに誘う為に、気配を探っていたのに探せなかったのだ。
意識的にエルの気配をサキュバスに消されていたのだろう。
だからサキュバスと別れた直後、エルの気配を感知して駅で見つけられたのだ。
あいつは、何を考えている?
エルは偶然に帰り道が一緒になったと言っていたが、たぶんサキュバスが装っただけの事だろう。
エルの話によると、お茶に誘われてお茶をしたとの事だった。
エルとの時間を私に邪魔されたくなくて気配を消したと考えるのが筋道だろう。
あいつの狙いは私なのか、エルなのか。
もうしばらく探る必要がありそうだな。
「お待たせ」
その時やっとエルが支度を終えて、部屋から出てきた。
見ると長い足を際立たせるミニの赤いショートパンツに、白のニットセーターを着ていた。
この服を選ぶのに2時間か・・・まあ、それなりに似合うからよしとするか。
「ねー、どこか行くの?」
ひょっこりとマレが現れる。
「今からルーフスとデートに行くの」
「デート?」
「うーんと・・・好きな人とお出掛けするって意味よ」
「じゃあ僕も行く。僕もエル好きだもん」
同時に顔を見合わせる私とエル。
まさかここで邪魔がはいるとは・・・こいつの存在を忘れていた。
「ダメだ」
初デートに3人でとかありえないだろう。
「なんだよ、ケチ」
そう言い捨てると、すがるような目つきでジッとエルを見詰める。
こいつ、小動物の武器の使い方を心得ているじゃないか。
恐ろしいヤツだ。
「そうだね。遊園地だし、マレも行こうか? いいでしょう? ルーフス」
あっさりと陥落しおって・・・。
もちろん、契約者の彼女のお願いは絶対だ。
聞かないという選択権は私には与えられていない。
当然3人仲良く遊園地へとデートに向かった。
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