第8話 選定



「それでは!今年の入団試験の合格者はコチラの5名です!」



 最後の一人がようやく地上に降りたち、最終結果が発表された。

俺を蹴落とすつもりが上手くいかないもので仕方がないと、後続の輩たちは2番手、3番手にターゲットを変え、上空でひと悶着あった末、この結果に落ち着いたという。


 結果が言い渡された後、騎士団員と仮入団の決定した俺たち5人以外はせっせと追い出された。



「改めて5名の諸君、合格おめでとう。

私はこの騎士団の団長を務めている、アーガンという。それから、横に立っているのが副団長のドレット。他の団員については個々で確認してくれ。


…さて、これからひと月の間は仮入団の期間とし、その間で更にこちらで3人に絞らせてもらう。その試験の内容は普段の生活。その普段においてこの騎士団に必要のないと判断したものは即刻立ち去ってもらう。何か質問はあるか?」


 はい、と5名の内で唯一の娘が手を挙げた。


「これからひと月の間はわたしたちは何をすれば良いのですか?」


「あぁそうだった、言い忘れていたな。

このひと月の間はそれぞれ団員が2人1組でお前たちと行動を共にする。

任務に行くも、城の警備に当たるも、内容は様々でありそれが日常だ。

それから、宿舎はこの騎士団所有の部屋を使ってもらう。他に何かあるか?

なければ団員の振り分けを引き続き行う」



 成程。2人1組で知らずの内に審査が行われ、相応しくない者は即切り捨て、というカタチらしい。

勿論、文句などはないし、むしろ任務にも同行できるのであれば経験値も上がることだろう。



「…と、最後にそこの青年。君の名は何という?」

「俺はエヴァン。コイツは相棒ドラゴンのルイス。よろしく頼む、団長殿」

「ほぉ、エヴァンというのか。良い名だな。

…ではエヴァンにはカレン、お前が付くか?」


 ”カレン”とは受け付け時につっかかってきた娘の名らしかった。


「アタシはそんなヒョロい男よりもこっちのお兄さんに付くよ。

いいでしょ?団長」

「…まぁいいが。じゃあエドワード、お前が付け。いいな?


 エドワード、と呼ばれた男は俺のすぐ真横に立っている。

黒髪から覗く橙色の瞳がこちらを見た。


「あぁ、承知した。ルイスといったか?俺は上級のエドワード。よろしくな!」

「こちらこそ、よろしく頼む」


 それからは滞りなくペアが決定し、その後の行動はそれぞれ団員に任せるということで解散となった。



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