甘いのを食べないと……

 僕はチョコバーのスネッカーズが苦手なのに、なぜか氷川コオリカワさんのお姉さんに配られた。受け取るときに、津井さん姉妹が食いついた。


「あっ、スネッカーズ! 美味しいよね?」

「羨ましいな……」


「そうなんだ……よかったらスネッカーズ食べる?」


「いいよ、私たちはイチゴ大福食べたから」

「2個ずつ食べたから~」


 みんながそれぞれの、スイーツを早く食べ終わる。僕だけ苦手な物を配られたので、食べるのに時間がかかる。コンビニ前の車内で、食べ終わった女子達の視線が集まる……。


「みんな……なぜ見るの?」


「えっ? 雄一ユウイチ君が食べ終わっていないから」


 みんなの視線を感じ、僕が食べないと氷川のお姉さんが目的地の2つ山にまで車を走らせない雰囲気さえ感じた。僕はスネッカーズを早口で無理矢理、口に押し込みお茶で流しこんだ。


「う゛ゔっ」


「それじゃー、また目的地に向かうよ~」


 氷川さんと、津井ツイさん姉妹と、僕たちを乗せた車がコンビニを後にして走り出す。車内はオレンジ色の光の生徒の時とは違い、氷川さんのお姉さんの人柄なのか、賑やかな雰囲気だった。僕以外は女子だけど、昔から普通にずっと仲がいい友人のような感覚でもあった。


「ところで、2つ山って色々と伝説があるらしいよ?」


「えっ? そうなんですか?」


 氷川さんのお姉さんが2つ山の話題について、語り出す。


「私は小さいときから、国中の神話や都市伝説や昔話が好きだったけど、2つ山の話も読んだことがあるの」


「2つ山はどういう話なんですか?」


「昔、その2つ山に歴史や時代に登場する有名な王族、貴族、武将、お坊さんが山に登ったっていう話を読んで、いつか出掛けたかったけど、ちょうど君たちから話があったの」


 氷川のお姉さんは、僕たちが向かう2つ山のことに詳しかった。話を聞くとお姉さんは歴史が好きな歴女でもあり、カメラが好きなイングラ系女子でもあった。


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