目的地にGO

 車は目的地に向かって走り出した。出発地の山背高等学園やませ こうとうがくえんのバス停前から、2つ山までに向かうルートで、氷川コオリカワさんのお姉さんが運転をしながら、氷川さんと、津井ツイさん姉妹と、僕たちは車内で話す。


「ところで氷川さん、なぜ遅くなったの?」


「実は……この日のために姉が、カーナビを買ってセットして、調べていたのっ」

「ナビがあると、運転し甲斐があるものよ! 少年っ!」


「お姉さんは、免許取ってどれくらいなんですか?」


「ざっと3ヶ月だよ!少年」


「氷川さんのお姉さんは、運転が上手ですね」

「安全運転ですね」


「ほめても何も出ないよ~、妹はいい友達がいるね」


 僕と津井さん姉妹は、車に乗せてもらうのにタダでは申し訳ないのか。すこしお世辞くらいがちょうどいいのか、気を遣いながら話し、車は2つ山までの道をひたすら進む。カーナビに描かれているルートは、距離にして70キロと時間にして1時間20分ほどだった。いまのところ単調な道が案内されている。


「そこにコンビニがあるね~、ちょっと寄っていく?」


「はい!」

「賛成!」

「賛成!」

「賛成っ!」


 僕たちはコンビニに到着し、好きな飲み物を買い。車内で休憩することになった。道路沿いの田畑と川がある車通りが多いコンビニだ。氷川さんのお姉さんが、少し遅れて大きめのビニールの買い物袋を車内に持ち込んできた。


「ほっほっ~君たちはよい子達だから、コレを上げよう!」


「ありがとうございます!」

「お~何ですか?」

「なになに~?」

「よっ! お姉サンタ!」


 やっぱり褒めて良かったのか、氷川さんのお姉さんの機嫌がいいみたいだ。僕たちに、お姉さんが買い込んだ物を手渡しし始めた。


「姉妹の子はイチゴ大福!」

「妹は好きなやつ、シュークリーム」

「君は……え~、コレかな!?」


「あっ……甘ったるいやつ……」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る