下校時間の出会い

 クラスが笑いに包まれる中。僕たちは即座に小さくなりながら、自分の机に向かい席に着いた。その後、ちょうど教室の扉が開き先生が教壇に上る。声を出し授業が始まった。そしていつもの何も変らない、授業風景。ただ、お昼に何も食べれなかったけど時間が過ぎていき、下校時間になっていく。


 下校時間になると、生徒はそれぞれの活動の方向に足を向ける。太子タイシはいつも授業が終わるとドラムスティックを持ち軽音楽部に向かう。僕は教室を出る。野外部活動の生徒達と帰宅の生徒は教室から廊下に向かい。昇降口のほうで上履きから靴に履き替える。


 僕は靴を履き替え、顔を上げ横を向いた瞬間。4人の人影があった。


 そこには津井ツイさん姉妹、僕、氷川コオリカワさんが同じタイミングで昇降口に居合わせた。その瞬間、すぐに声には出ない、なにか異様な空気が流れた。そしてその後にもう一人の人影が、廊下から僕たちのほうに歩いてくる。


「こういうセカイ……悪くないでしょ?」


 もう一人の人影が近づきながら、僕たちに話しかけてきた。その姿は初めて見る、山背高等学園やませ こうとうがくえんの女子制服を着て白い肌、精悍な顔立ちだった。


「あなたたちが揃う時間を合わせてみたら、やっぱり4人……」


「君は誰?」


「私は、君たちが見たもの……アルファとオメガの間に存在する者……」


「見たもの? アルファとオメガの間?」


 僕は唖然とした。突然の出来事で氷川さんがユーツューブ動画でドッキリを撮影しているのかと一瞬思ったけど、氷川さんはスマホを持っていない。僕以外の津井さん姉妹と氷川さんはただ立ち尽くしていた。数日前から僕が不思議に感じていた存在が、目の前に立っているのか、僕の思っていたことが具現化したようだった。


「私はオレンジ色の光に見えたり、今の私の姿に見えたり、始まりと終わりの間に生まれた存在」


「なぜ? ここにいるの?」


「私はこの学園セカイに変化が、そのことを知らせたくてアルファとオメガの間から生まれ出てきた……」


 その時、僕たちの時間は止まる。違う時間軸に移動したみたいに。僕の意識にその時間軸からまた別の望む時間軸に移動し、螺旋階段のように、グルグル周り自分の思うセカイの階層に移動できるようになり。僕の思うセカイに……。不思議な流れに変わる感覚が体に襲う。ここで……彼女たちの存在と出会ったことでさらに変化が始まり。過去の自分をも変えていたことに気づいた……。


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