廊下と教室
「チョコバーのスネッカーズ!」
お昼休みが終わり、購買で何も買えずに空腹の中で早足で教室に戻る。そんな中、
「太子それはいらない!」
「はははっそっか!」
僕と太子は、購買から早歩きで教室の前に到着した。休憩も終わりもうすでに授業が始まる寸前なのか、
「あっ!
「太子これ授業……」
「雄一! 皆まで言うな!」
廊下側から見て、扉の閉まった教室を見ることの緊張感は半端がない。なぜならクラスの中が見えなく、なおかつ午後の授業が始まっているかも分からない。もし始まっていたら先生とクラスメイト達に声を出し、謝らないと行けない。しかし逆に授業が始まっていないのなら、セーフになる。それは僕と太子が、中身が見えない教室のブラックボックスを開けるような
「太子! 一緒に扉をあけて、遅くなってスイマセンでしたって謝ろう!」
「同じタイミングで言おうな!」
「せーの!」
「せーの!!」
緊張が走る、教室の中はセーフかアウトなのか……。
「遅くなってスイマセンでしたっ!」
「遅くなってスイマセンでしたー!」
扉を開けた瞬間、すでに着席状態のクラスメイト達が僕と太子をぽかーんと見ていた。教壇のほうに目を向けると、先生はいない。その時僕と太子は悟った、授業はまだ始まっていないのだと。
その反面、大声で謝ったので僕たちはフライングをしたのだ。授業前、つまりセーフでもあり、恥ずかしいという意味でアウトだった。その後、クラス中が大笑いに包まれた。
「めっちゃ笑われてるよ……」
「雄一! 耐えろ! 俺たちは、笑いがあるだけでも、救われているんだ……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます