チャイム音の無情


「お二人ともインタビューありがとうございました~それでは失礼いたしますっ!」


 お昼の休憩時間が終了するチャイムが鳴り、氷川コオリカワさんは急ぎ足で僕と太子タイシの間をすり抜けて歩いていった。僕は結局、オレンジ色の光のことを聞くことが出来ずに氷川さんの部活動の話を聞かされて、お昼の休憩時間が空腹の中。終わってしまった。


「太子……お腹がすいたね」


雄一ユウイチ……そうだな」


「太子? 購買まだ開いているかな? もう授業始まるけど」


「チャイムが鳴ったけど、ギリ間に合うかも?」


 他の生徒達は教室に戻ろうと、僕たちの逆方向に歩いてくる。僕と太子は購買のほうに歩き、いつも買うパンと牛乳を目指す。本当なら、購買にすぐにでも走って行きたいけど山背高等学園やませ こうとうがくえんは、廊下を走ると罰則があるので生徒達は歩くことが常識になっている。歩いているうちに、購買が見えてきた……。


「あっ!」


「うっわ~、最悪だ!」

「購買のドアに鍵がかかっている!」


 僕たちは空腹の中、いつも買うパンと牛乳を思い描きながら歩いたにもかかわらず。無情にも購買のドアは鍵がかかっていた。ドアをのぞき込むが、誰もいない。購買の空いている時間を過ぎてしまったのだ。


「これ、どうする?」


「しょうがない、教室に競歩で戻る1択だ! 雄一!」


 そう話し僕たちは走れない廊下を競歩で、教室に向かう。購買でいつも買うパンと牛乳が買えずに、お腹をすかせながら。廊下・階段を上る。


「太子? これって、氷川さんのせい?」


「そうだな、氷川と購買のせいにしておこう!」


 競歩の早足で教室に向かいながら僕は教室に早く歩くのが精一杯だった。太子が突如、ひらめいた表情をした。胸のポケットにあるなにを取り出そうとしていた。


「へへへ~雄一? コレあるけど食べる~?」


「うわっ!」


 太子が手に持っていた物は、あの早食い競争をして口の中が超甘ったるくなる、食べ物だった。


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