放送部


 放送部の部員が氷川コオリカワさん一人だけ、という現状を聞かされた僕と太子タイシは、朝に話した、撮影されたオレンジ色の光の話題が気になりながらも、氷川さんの放送部の改革についての熱弁をお昼の空腹の中、聞かされることになった。


「私っ、氷川は放送部の改革をするために、まず山背高等学園やませ こうとうがくえん放送部の存在を世の中に示すべく。朝のニュースにあの動画を提供したのですっ!」


「そうなんだ!」

「どおりで聞いた声だと思った」


「このまま放送部が私で無くなると思うと、諸先輩達に申し訳がなく!! つまりこれからは、放送ではなくネットのほうなのですっ!」


「ネット?」

「あっそうだよ! 氷川は……」


「ふふふ……皆まで言わないでください、滑舌君っ!」


 そう言うと氷川さんが、スマホの操作を始める。そして僕たちに、スマホの画面を見せる。


「じゃん! 私っ氷川、ユーツューバーとしても活躍しているのですっ!」


「そうだよ! 雄一ユウイチ、学園でユーツューバーと言えば氷川なんだよ!」


「ユーツューバー? 憂鬱ゆうつ? 憂鬱ゆうつバーBAR?」


「そうそう~、憂鬱なBAR経営で~っ。ただの酔っぱらいには興味がありませんっ! バブリーな客なら誰でもいいから来なさいっ! 以上!……って~違いますっ!!」


 氷川さんがノリツッコミをしてきた。そのあとに太子がユーツューバーのことを説明する。



「雄一、ユーツューバーは、ネットの動画共有サービスサイトに投稿配信する人・主のことをいうのさ、氷川は市内でも登録数が多くて人気があるのさ」


「そうなんだ……」


 氷川さんは、ただの廃部寸前の放送部部員ではなかった。高校生ながら市内でも人気のユーツューバーという顔を持っていた。


「そこでっ! 氷川はっ! 放送部の名称変更めいしょうへんこうをしようと思うのですっ!」


「放送部の名称変更?!」

「放送部の名称変更?」


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