学園ニュース

「じゃ~学園ニュースの撮影前にいろいろ確認しますねっ!」


 学園ニュースの取材インタビューを受ける僕と太子タイシ。そうお昼休みの購買に向かう途中に、しかも、目の前にいる女子があの氷川コオリカワさんだった。僕達は唐突だったので、断ることが出来ずに氷川さんのペ-スで話が進み出した。簡単な撮影時の確認と、インタビュー内容の説明などのやりとりが始まった。


「初めに、スマホのカメラで動画撮影しますのでっ」

「毎週放送~今日の学園で話題のニュースのことを、わたしが聞くのでっ えっ?! あの学園ニュース! って嬉しそうに答えてくださいっ」


「えっ? (……これってヤラセなのかな?……) はい……って太子!!」


「えっ?! あの学園ニュース! えっ~?! あの学園ニュース!! えっ! あの学園ニュース!!」


「太子~!」


 なんと、太子が嬉しそうに発声練習している。僕はこんな太子を初めて見た。よっぽど学園ニュースのインタビューを受けるのが嬉しいのか、そういう太子を横目に、僕は氷川さんの学園ニュースの取材の段取りの良さに驚かされていた。


「そこの君~いい~ねっ! 隣の子は撮影が始まってキュー出したら、もっと声を出してねっ」

「次は、あなたが気になる校内のニュースを教えてくださいって聞くのでっ、わたしがまずっ、嬉しそうに発声練習している君に聞くので~、次は横の君が答えてねっ」


「はい……」


「えっ?! あの学園ニュース!?!」


「そこの君っ! もう発声練習はいいよ~っ」


「君たちが答えたら最後に、学園ニュース最高~っ! って二人で映画の宣伝CMみたいに答えてねっ」


「は、はい (……やっぱり、ヤラセかな?……) 太子……」


「学園ニュース最高~っ! 学園ニュース!最高~っ!! え~っ、ああああ、学園ニュース最高~っう!!!」


「発声練習の子は元気があっていいね~っ、じゃっ学園ニュースの本番撮影を始めるねっ! よ~い!!」


 氷川さんの手際のいい段取りで、撮影インタビュー内容の説明などのやりとりが終わった。僕はそうでもないのだが、太子は嬉しそうだ。氷川さんが、スマホのカメラを構えて合図を出し、学園ニュースの撮影が始まる。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る