昼の疑問

 僕は二人の津井ツイ姉妹が向かって歩いてくるのを制止した……!

 今まで二人いなかったはずの姉妹に向かって、僕は前に立ちはだかり声をかける。


「津井さん!」


 太子タイシと津井さん姉妹が僕のほうに声を出し、キョトンとした目で見ていた。僕は、今まで気になることを津井さんに聞く。


「なによ?」

「なに?」


「どおしたんだ?雄一ユウイチ


「ちょっと違和感があるんだ……津井さんは今まで一人でお弁当を食べていたのに、なぜ二人になってジャムぱんとイチゴ牛乳を買いにくるの?」


「……っ……雄一おい!」


「あははははははははぁあ」

「えっ?あははははははははぁ……おかしいよね」


 津井姉妹が僕の質問に笑いで返す。別に笑わせるつもりじゃないけれど、なにか変な日だからかこういう質問をしてしまったのか……。


「津井さんに真面目に聞いたんだ……」


「雄一くんは面白いよね~」

「お弁当なんて食べたことないよ~ね?アヤお姉ちゃん?」

「いつも藍子アイコといつも同じジャムぱんとイチゴ牛乳しか買わないよ~」


「そう……それならいいんだ……」



 進学して今まで見てきた光景が、目の前で変っている。今日は僕が変な日かもしれない、いや、もしかしたら僕以外の何かが変ってしまったのかもしれない。記憶と現実が食い違ってパニックを起こしている。変な気まずい空気の中。


「あははぁ、津井、俺たちまだ昼飯を食べてないから、こいつ腹が減るといつもと違うんだぁ、雄一!、あっ!購買でスネッカーズでも買って食べようなっ!」


「あはは、そうなんだ太子くん」

「太子くんも雄一君おもしろいからいいけど~」


 太子の気遣いで和やかな空気に変わり、僕たちは購買に。津井姉妹はグラウンド前に向かおうと今度は真ん中ではなく、僕の横を過ぎようとした。その瞬間、耳元に風のように二人でささやく。


「こういうセカイも……」

「悪くないでしょ?」


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