気になるけど競争


「こういうセカイも……」

「悪くないでしょ?」


 津井ツイ姉妹の言葉が気になりながらも、二人は通り過ぎて行く。



 太子タイシが購買で嬉しそうにスネッカーズを10本買ってくる。太子のスネッカーズ10本のうち、5本をもらい教室の中に戻る。


「いいか雄一ユウイチ、こういう時は糖分を取るんだ」


「えっ?」


「雄一、5本俺より早く食べられたらスネッカーズの代金は払わなくていい、だけど、雄一が俺より食べるのが遅かったら、スネッカーズの代金10本分を払うことになるルール」

「太子! 勝手なルール決めない!」

「よーい!」


 太子の大声で教室にいるクラスメイトもこちらに注目する大惨事になってきた、クラスメイト達が周りに近寄ってくる、そういう状況だから断れない雰囲気になり。


「太子ちょっと待って」

「スタート!」


 チョコバーのスネッカーズ袋を破く音が教室に響く、太子が猛烈に食べ出す。僕もスタートした状態で少しひるんだけど、猛烈に甘いチョコバーを食べることにした。太子が食べ慣れているのか、僕より速いペース。


「3本目だぜどうだ」


 太子が余裕を見せながら、3本目に突入した。僕も3本目になるときに口の中が凄く甘ったるくなる、このまま負けるのかと思っていたその時、太子を見ると先ほどまで余裕を見せていたのに様子がおかしい。


「だれか水ないか! 口の中、甘すぎるわ!」


 教室のクラスメイトが笑いで賑やかになる、太子がクラスメイトに水を求めている中、僕は甘ったるいチョコバーをモクモクと食べ続けた。なぜか食べ続けることが出来た。


「よし完食!」

「えーーーーっ! 俺、負けたのか、悔しい! 勝負は甘くないけど口の中が甘いわ!」


 クラス中が笑い、僕は太子より早く食べることに成功した。いつものクラスの雰囲気と違う、甘い、賑やかな昼休みになった。

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