昼休みの出来事



「あのさ太子タイシ……津井ツイさんって姉妹いるのかな?」


「それがどうした雄一ユウイチ?たしか津井は姉妹がいないとおもうぞ」



 教室を出て授業中とは違って、軽い空気の中で購買に向かう途中、昼休みの時間。歩きながらいつもの話し方で友人の太子に話しかける。山背高等学園やませこうとうがくえんに入学して数ヶ月たって、クラスメイトはお昼の時間で、どの生徒が友人か仲が良いのか悪いのか、僕は周りが見渡せるようになり。


 一方で購買までの廊下の華やかな空気を感じながら、中学時代と違って友達がいない過去と決別出来たと思う今日この頃。この学校に進学して、太子という友人が出来きた。あと話さないけどいつもの通りがかりで、名札に書いてある津井という女の子が気になる今日この頃で、僕は太子に聞いてみた。


「えっ?さっき、津井さん二人で楽しそうに話しをしてたけど?」

「俺、中学から津井を知ってるけど、そんなの見たことないぞ」

「えっ?!同じ顔の津井さんが二人で楽しそうに会話していたけど??」


 太子は僕と違って物怖じせずになんでも他のクラスメイトのことも話すけど、昼はいつもこうして趣味のことを話しながら購買に向かう、けれどいつもと違う内容だからか少し戸惑ったのか。なぜか分からないけど見間違いなのか。その目線の先に確か、さっき二人で話していたはずの津井さんが一人になっていた。

 津井さんは先に購買で買い終えたジャムぱんとイチゴ牛乳を手に持ち、僕と太子の方に間の真ん中を割って、通り過ぎようと歩いてくる。僕は津井さんを交わす。


「おっと!」

 太子が津井さんに話しかけた。

「津井ちょうどいいや、お前さぁ…姉妹が……」


 教室を出て授業中とは違って、軽い空気の中で購買に向かう途中。


「あのさ太子タイシ……津井ツイさんって姉妹いるのかな?!」


 ん!?……なぜだ!?

 さっきジャムぱんとイチゴ牛乳を持った津井さんにすれ違う数分前の出来事が、もう一度起こっている。目の先で同じ顔の津井さんが二人で楽しそうに話している。

 同じ光景、目の前に太子がいる……パニック……太子はどう話すのか?

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