アルファのオメガ。

河杜和空

 バランスの取りかた < プロローグ >


「たしかにあの子は二人いたんだ……」


 小声でつぶやく、午後の授業中の景色。昼休みに出来た出来事が、動揺をおさえられずに僕の心の中でバランスが崩れていた。


 あの子の存在を見たことが、穏やかな春。校庭の景色と引き替え、それは山背高等学園やませこうとうがくえんに進学して、過去の自分と違う日常を送ることに新しく期待を抱きながら、もう不快な思いをせずに生きていける希望を持ったすぐの出来事だった。僕は学園がすでに変化していることに、その時は気づいていなかった……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る