煙に濁る
煙草を喫して吐き出すという行為に何らの泡沫も見出せはしないのであるが、それでも息が続くというなら、そこの水域を少しばかり煙で汚したくなる、であれば、幾許かは意味を見出せよう。それが命の色を濁らせるだけのものだったとしても。
上向かぬ心を投げ出して、差し出して、煙草を喫することに
ああ、どこに向けて煙を吐け出せばいいのか、そのくらいのことさえわからぬものを、前に進む意思があろうとて、どうして、一歩よりも、一℃よりも、ぬくもりなどとうに意味はなく、安穏はあふれれば役を失い、まさか、どうして、ただひとつ吐く煙の行方だけを気にして!
魔法は解ける、息を枯らして。
命よりも答えよりも今日の今が絶え間なく、煙草を喫してもいつかの今に吸い尽くすならば、おそらくコーヒーのそれもそうなのであろうし、果ては自分の命もそうなのであろうから、
煙草を喫する、命に溺れて、今を枯らして。
喫するよりも、いくらでも今はあろうものを、もはや海面さえろくに見やることなく、煙の行方を気にして、人と人を継いで、絡繰りの中で、やはり生きている。
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