BGMは合わない



混濁に混じった諾意だくいを気にして流れる

私は哀思あいしを夕暮れとめに持て余す

空ばかり見ていたきみがブランコから下りる

悪意のない諾意に怯えて息を制限する

空ばかり見ていたきみは川のきらめきを知らない

怖がった結果でBGMは合わない


ちぐはぐな詩情が脳を食い散らかしていく

いびつなタワーは傾き方の作法を知らない

私はどこにも向かわない

空ばかり見ていたきみなのに劣情を知るばかり

ひとりきりに明け暮れる

やむを得ない車線変更は三日前に告知して

空ばかり見ている

きみはどこかへ

ためらってしまったからBGMは逸れていく


きみはどこで

しがない劣情に振り回されているのでしょう


夕闇の哀思は早暁そうぎょうに繰り返す

見渡す限りに

BGMは合わないのでしょう

今さら合うくらいなら

私はどうして

きみはどうして




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