うまくやれたかなって



首尾良く上々に理想的とは

とてもじゃないけど言えなくたって

わりあいにうまくやれたかなって

そんな作法で

満点どころか半分に届くかどうかも不明瞭

でも赤いペンで引かれた線は

ところどころで丸を描いている

そっちのほうを数えてやらなきゃ

どうやったってつまらない

そんな小狡さの妥協で

少しばかりの生を求める

回数はない

新たな答案は用意されない

第六問の間違いは

いつまでも満点の可能性をなくすし

第十六問の正解には

何度も勇気をもらってきたよ

第六問にそっくりな問題が

どこかで顔を出すこともある

それに首尾良く正解してみせたって

やっぱり

バツ印はそのままだね


嘘ばっかりついている

こうして今も

正解のふりをして

あるいは

正解を知らないふりをして

わりあいにうまくやれたかなって

自分に言ってやりたいだけの

ちょっとした思いあがりの自己愛で

白黒つけてみて

灰色があることを忘れている

だとしてみても

濃淡で見ればことが済むのか?

さりげない仕草で

巧妙な手口で

また嘘を重ねている

うまくやれたなんて

さらさら思っちゃいないから

丸がいくつあるかを数えているんだろう?

うまくやれていないということの

明確な根拠さえ

見つけられないままに


生きていることが正解なのなら

いつか間違える

それを答案にするつもりなら

最初から燃やしてしまえよ




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