第21話 桐土スタジアム③

一旦引き返して、公園のベンチに座る。

私の当初の目的は、寺島さんが言ってた鍋の出店に試合中に買いに行く事だ。

試合開始するまでここで待つ事にする。

iPhoneを少しいじった後、まだ時間があるので考え事をする。

あのストラップが売り場に無かったという事は、売り切れたか、昔のタイプだから置いてないかという事になるのだが、どうも後者らしい。

というのも、グッズ売り場に完売という文字は存在しなかったからだ。

スタジアムの方からアナウンスと音楽が流れ、観客の応援が聞こえた。

iPhoneを見ると、試合開始になるところだ。

始まって5分経ってから鍋の所に行こうと思い、考え事を続けた。

YABUの文字は何だろうか?

あれを見た後に調べてみたけど見つからなかったからどうも選手の名前ではなさそう。

となると、あれは何だろうか?彼氏の名前だろうか

彼女の彼氏はどんな人だろうか?

黒い服は彼氏の趣味なのだろうか?

そうか、彼女は彼氏と一緒に観戦しにきたのか。


iPhoneを見ると試合が始まってからもう、6分経過していた。

ベンチから立ち、メインストリートへ戻る。

すると、予想しなかった光景を目にした。

出店はもう全て片付け作業をしていた。

物を売っている店は1件も無かった。

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