第20話 桐土スタジアム②

その黒い少女の横を通る。

手にしていたスマホは、見た事のあるストラップが付いていた。

話しかけようかと思ったが、人混みが凄いので遠慮した。

他の食べ物の出店を見ながら人混みに流されているとメインストリートの終点である公園に着いた。

公園を抜けるともう桐土スタジアムから、音が聞こえた。

道路を超え、本当のスタジアム入り口に着いた時水色の人だかりがあるのを見つけた。

そこにいる人達の会話を聞いて見ると、そろそろレ・タフロの選手バスが到着するらしい。

そこで2分ほど待って見ると、水色の大型バスがやって来た。

そしてゆっくりと、人だかりのある所にバスが停車し、選手が降りて来た。

降りて来た監督や選手に対して、激励の言葉をかける水色の人達。

1番最後にエースとキャプテンが仲良さそうにバスから降りてきた時、その歓声は1番大きかった。

「今日決めてくれよー!」

高くて大きな子供の声に対して親指を立てて答えるエース。

拍手して盛り上がる水色達。

そして、水色達はチケットを提示する所へゾロゾロと移動している。

私は生でキャプテンを見た事でテンションが上がったので、当日券が無いかチケット売り場へ行った。


当日券は、スタジアムの真ん中の所だけ売っていた。ただ、5200円する。

シンプルに高い。

見るのに良い席だから高いのは仕方ないが、それだから当日まで余ってる。

対戦相手のチームを確認する。

地味なチームだ。

おそらく、今のチーム状況ならレ・タフロが勝つだろうが、5200円払って見たいかというとそうではない。

エースの最多得点記録の更新にリーチがかかっているが、この試合で決まるかどうかは分からない。

見に行った試合が点が入らなかった試合の時の損した気分は1度味わったことがあるが、あれは観客全員が悲しい気分になる。帰りの電車の雰囲気が悪い。

チケット売り場の横のグッズ売り場を見る。

レプリカが大きく前の方に置かれていて、小物は奥の方にあった。

それらを見終わると、彼女がなぜ真っ黒な服装でスタジアムに来てるのかが気になった。

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