第18話バラとドクロ①⑦

試合は1-0でレ・タフロが勝った。

「去年の王者をアウェイで倒すって最高だな」

寺島さんが、充電器を外しながらそう言った。

「良い気分」

ウラカタさんもアメを2つ転がしながら感想を言っていた。

2人の話を聞きながら、私は使ったカードを箱に戻し、書いたメモを畳んで隙間に入れていた。


帰りの電車がウラカタさんと一緒だったので、寺島さんと別れた後に15分くらい、お互いにスマホをいじりながら話したが、内容はあまり覚えていない。

何故か、ウラカタさんの古そうな水色のスマホのストラップが気になって仕方がなかった。

視線をずっとそっちに集中していたが、中々なんて書いてあるかは分からなかった。

ただ、私が降りる駅に着く直前のカーブの揺れの時に、ウラカタさんがこっちに寄ってきた。

そこには少し違和感のある白の刺繍で、「YABU」と書かれていた。


「じゃあね」

ウラカタさんにそう言って、駅のホームに降りた私は、ストラップ目当てにレ・タフロの試合をやる桐土スタジアムに行こうと決め、帰りの途に着いた。

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