第17話バラとドクロ①⑥

「え?」

「私がドクロを消したから」

「根拠は?」

「私の直感」

いつもよりも泳いでいる眼を見ながら私は答えた。

証拠なんてない。寺島さんしか消えたカードが何だったのか知らないのだから。

ただ、私は効果的に次の事を伝えたかった。

「ウラカタさん、貴女は安全な事しかこのゲームでしていないでしょ」

「え?」

「そろそろ変えたら?」

そういって私はカードを伏せた。

ウラカタさんは、少し悩んでカードを置いた。

「バラ3」

寺島さんがそう言った時、彼女は少し驚いた様子だった。

しかし、6秒後には、私を不思議そうに見ていた。


「ダメだ」

8分後に寺島さんはそう言って、椅子の向きをテレビの方に変えた。

寺島さんは、(主に私の活躍による)ドクロの引きすぎで手札が無くなってしまったのだ。

ウラカタさんは、1度だけセオリーを無視した行動を取った。

自分を囮にして寺島さんにドクロを引かせた事があった。

この行動に私はかなりテンションが上がった。

と同時に確実なものが無くなって困ったりもした。

そして今は、私と彼女の2人だけ。

手札は私が3枚で彼女が4枚。

彼女が親で、カードを置いた。

私は堂々とハートの5を置いた。

「バラ2」

彼女がそう言ってカードをめくりに行った時、

「きた!」

と少し高めの大きな声がした。

2人して声の主の視線の先を見た。

レ・タフロのエースが豪快なヘディングを決め、観客席近くに行って歓迎されていた。

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