第15話バラとドクロ①④
「次の試合、誰からだっけ?」
グラスを飲み終えた私達に、寺島さんがそう聞いてきた。
「ラストの時、私親だったからウラカタさんだと思う」
私がそう言うと、ウラカタさんが首を小さく2回、縦に振った。
「じゃあ、よろしくね」
寺島さんが除外されたカード2枚を見て、1枚を自分の所に置いてから私にスペードの2を渡してきた。
受け取った私は、ここから逆転する方法よりも、ある事を考えていた。
私の番が来たのでスペードの2を伏せた。
2人ともまたカードを置き、私の番が来た。
「バラ1」
私がそう言うと、
「バラ2」
と高めの声がして、
「バラ3」
と低めの声もした。
「バラ4」
私は寺島さんに向けてそう言った。
「パス」
ウラカタさんがそう言うと、寺島さんは大きな黒目でこっちを見つめている。
「ドクロかい?」
「さあね。王手をかけなくていいの?」
「そもそも王手をかけるチャンスを何故くれたんだろうか」
「心理戦を仕掛ける方に成りたかったからね」
「うーん」
悩んでいる彼女から視線を外し、暇そうにしているウラカタさんを見る。
彼女の視線の先はレ・タフロの試合にあった。
「バラ5」
低い声が聞こえると、カードをめくる音が4回。
そしてスペードの2を開く彼女。
「やってくれたなぁ」
「何のことだか」
ピーッ
レ・タフロのエースがペナルティエリアで倒されてPKを示す笛が鳴った。
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