第12話バラとドクロ①①
ウラカタさんの番だが少し悩んだ様子で、まだカードを置いていない。そしてさっきからニヤニヤと寺島さんがこっちを見ている。
ウラカタさんがようやくカードを置くとすぐに、
「バラ3」
と宣言して寺島さんが自分のカードからめくっていく。
前も見たハートの3が場に出た後、真っ先に私の元へ右手を伸ばし、ハートの5を表にした。
「ハートの数、増えてない?」
「サービスで増やした」
「ふーん」
「はやくウラカタさんの引きなよ」
「私はあなたの事、分かりやすくて好き」
「はいはい」
彼女のこれは、トラッシュトークなので気にしないのが1番有効のはず。さっきは忘れてて面食らったけど。
「つれないなぁ」
そう言って彼女はウラカタさんのカードをめくった。
スペードの3だった。
ウラカタさんが寺島さんのカードを1枚取り除いた後、私が親なのでとりあえずハートの5を置いた。
そしてウラカタさんと寺島さんがそれぞれカードを置いた。
そして、ハートの4を置いて様子を見る。
すると、また手番がきた。
手札の最後の1枚も重ねると、ウラカタさんも同様に重ね、寺島さんが頭を掻きながら悩んでいた。
「バラ1」
低い声が発せられると、私はすぐに、
「バラ2」
と宣言し、
「バラ3」
とウラカタさんがして、寺島さんは覚悟を決めたようで
「バラ8」
と宣言した。
ハートの3、ハートの1を出してからウラカタさんの方へいき、ハートの9、ハートの7を出した。
ウラカタさんのカードの3枚目であるハートの8を目にした時、
「あぁ」
と思わず声を出してしまった。
「ドクロあるから失敗するなぁ」
とワザとらしくこっちを向いて言ってくる彼女。
そして20秒後にはハートの6、4、5を表にされた。
「2人とも優しい良い人だ」
そう言ってポケットからオレンジアメを取り出して舐め出す彼女。
その様子を見て、私の舌は乾いて水分を欲しがっていた。
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