第11話バラとドクロ⑩

ウラカタさんがカードを重ねて置いた。

と同時に寺島さんもカードを重ねた。

すぐにまた自分の番が来てしまった。

「バラ1」

そう私が言うと、寺島さんはニヤリと笑って口元を動かした。おそらく声には出していないが、口の開き方が2回変わったのでなんかの3文字の言葉を伝えたかったのだと思う。

ウラカタさんは、自分の伏せたカードをこっそりと確認してから、

「バラ2」

と言った。

「バラ3」

寺島さんがすぐに宣言した。

全員が宣言してくるとは、全部バラか?

そうなると、すでに1pt取ってる寺島さんには宣言させたくないからもう超えよう。

「バラ5」

そう言って自分のハートの4をまず表にする。

さっきわざわざ確認してからウラカタさん宣言したよな

そう思い、ウラカタさんのカードをめくっていく。

ハートの8が現れ、ハートの9が出てきた。

そして寺島さんのところをめくる。

ハートの3が現れ、最後の1枚をめくる。

スペードの1だった。


「寺島さんの事、私嫌いかもしれない」

「ああ、やっぱ私の事好きだったんだ」

そうイタズラそうに大きな黒目で見てくる彼女。

そして左手の人差し指で私のカードを1枚取り除いた。そしてカードをなんかいじっている。

「ウラカタさんの方が好きになったなぁ」

「会って1時間も経ってないのに?」

ウラカタさんがキョロキョロ眼を動かしながら私に尋ねた。

「私と同じくらいなのに、髪キレイだしスタイル良いし」

「あ、ありがとう」

ウラカタさんが照れながら返事をする。

否定する事なく受け入れている所が、本当に彼女の人の良さを表してるなと感じていた。

「梅野さん、早くバラ出して」

低めの声が聞こえた。

フラれた寺島さんを見ると、すでにカードが置かれていた。

「ハートの4を置くよ」

そう言って私はハートの5を置いた。

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