第8話バラとドクロ⑦
寺島さんも1pt取ったため、私以外はリーチの状況になった。
親の寺島さんがカードを置いた。
流石に今回はバラ3対策でドクロを置かないと決着がついてしまう。
手札の左端に長くいたスペードの2を伏せる。
ウラカタさんがカードを置く。
「ドクロ置いた?」
「え、それはその…」
「やっぱいいや」
そう言って、寺島さんが2枚目を重ねた。
宣言かバラを重ねるか
置いてるのドクロだし宣言はキツイだろうな
私が宣言成功させたところで決着がつく訳では無いんだから、私の宣言は様子見される可能性が高い。
そう考え、ハートの5を置いた。
「バラ1」
高めの声が聞こえると、その隣で左手で頬杖をつきだす寺島さん。
「パスで」
嫌な役割を渡されちゃったなぁ
強い宣言か、パスするか
相変わらずキョロキョロと視線が泳いでいる彼女を見ながら考える。
バラ2以上は私が仕掛けたドクロのせいで失敗するのが確実
ウラカタさんのカードがバラなのかドクロなのか
このゲームを思い返してみる。
思いついたのは、私と寺島さんがウラカタさんの所のカードを引いてドクロを食らったシーン
あれは、ドクロだ。
「パス」
そう言った直後に、ウラカタさんと視線がバッチリ合った。
そして彼女は口角を上げて、
「ありがとう」
と言って自分のカードを表にした。
出たのはハートの9だった。
違ったか
そう軽く後悔した私は視線を右にズラした。
上目の大きな黒い瞳がこちらを見ている。
そして子供のようなにっこりとした笑顔で
「ドンマイ」
と彼女は大きめの声で言った。
それを聞いて私は、軽く唇を噛みながらの下手な笑顔で応えた。
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