第6話バラとドクロ⑤
ウラカタさんの人差し指が私のハートの6を指し、空いてる場所へ連れ去ってしまった。
ドクロが取られなくてよかったと安心したと同時に、今度は私が親だから何を置こうか考える。
バラだな。
バラを置き続ければ、ドクロが除外されてない事を隠しておける。
ハートの4を伏せた。
ウラカタさんも、寺島さんも1枚置いた。
手番が来たけど宣言するか?
バラ3言いたいけど、さっきウラカタさんにやられたばっかだからうーん。
これでまたドクロ引いたら、すごいバカに思われる。
とりあえず様子を見よう。
ハートの5を伏せた。
ウラカタさんは、少し手が止まってからカードを1枚置いた。
「バラ1」
と寺島さんが言った。
「バラ2」
すぐに私は言った。
ウラカタさんは、手札を見ながらこちらを伺い、
「パス」
と言った。
「バラ3」
寺島さんが言った。
ここまで宣言してくるのだから、寺島さんの1枚はバラで確実だろう。
私のと合わせて3枚は確定で取れるとして、残りはウラカタさんの所の2枚か。
2枚の内、どちらかはバラなのか。
そう考えると気が楽だ。彼女の仕掛けるもの全てがドクロでは無い事が分かるのだから。
「バラ4」
私は強めに宣言した。
彼女がどちらにドクロを入れるかと考えれば、最初に仕掛けるだろう。だから上のカードはバラで4枚取れる。
「うーん」
寺島さんは、左手で髪をいじりながら考えている。
「バラ5で」
と言って寺島さんは、カードを自分のからめくっていく。
ハートの3が見え、私のカードに手を出し、ハートの5、ハートの4が現れた。
ウラカタさんの所へ右手を出し、めくる。
ハートの8。
もう1枚めくる。
スペードの3だった。
「やっぱりか」
そう、寺島さんは言うと自分のカードを手札に集めてウラカタさんの方に近づけた。
「これ」
と、1枚のカードは既に除外されたハートの6の隣に置かれた。
「ウラカタさん調子いいね」
なんか取っ掛かりが欲しくて声をかける。
すると、不思議そうにこちらを見て、
「え?あぁ、はい」
と応えた。
距離感が違うだけの問題なのだろうか?
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