第4話バラとドクロ③

「本来なら親は、時計回りで順番にするから梅野さんなんだけど、説明がメインだからまた私がやるね」

そう言って、手札のカードを1枚裏向きにする寺島さん。

それに続いて私はハートの5を裏向きに出し、ウラカタさんもカードを出す。

「全員が1枚以上置くと出来る2つの事の2つ目っていうのが」

そういって彼女は手札のカードを1枚、既に裏向きに置かれている自分のカードの上に裏向きで重ねた。

「完全に隠すように重ねると、何枚あるのか分かり辛いから少しズラして置いた方がゲームがやりやすいからそうしてね」

メモの紙に書く。

「そしたら、次の梅野さんは重ねて置くか宣言するか選んで」

「誰かが宣言するまで重ねる事が出来るの?」

「出来る」

ハートの4を裏向きに重ねる。

ウラカタさんもカードを裏向きで重ねる。

「そしたら、今度は宣言の失敗の時を説明するから…バラ6」

そういって自分の上のカードをめくり、スペードの1が出た。

「宣言できる最大の枚数を宣言すると、他の人はパスするしかないから、確実にカードを引く事ができる。」

「あ、本来は私とウラカタさんがパスを言う手間が入るのか」

「ルール上そうだけど、そこは無意味だからこんな感じで引いちゃって良い」

「分かった」

「で、6枚引く途中でドクロを引いた時点で失敗になる。普通は全部宣言して自分の所のドクロを引くなんて事はあり得ないんだけど」

「失敗の説明がしたかったからわざとですね」

「そう。とりあえず、さっきみたいに自分のカードを手札に戻して」

そう言われ、伏せた二枚のカードを手札に回収する。

「そしたら、誰でもいいから私の手札を1枚選んで」

ウラカタさんを見る。上目で私を見ている。

「これで」

ここで時間とっても仕方ないので、1番右のカードを指す。

「そしたらそのカードを裏向きのままテーブルの端の方に置いて」

そのカードを私の右側の所に置いた。

「これで、私の手札は1枚減って3枚になった。あの除外されたカードはゲーム終了まで戻ってこない。失敗のペナルティはこれだけ」

「手札が0枚になったらどうなるの?」

「ゲームから脱落って事になるから負け。レアなケースだと、自分以外が全員脱落しても勝者になれる」

「へー」


チュートリアルの試合はその後3ラウンドやって、私が2pt取って勝った。

「ルールは大体掴めた?」

「おそらく」

これまでの寺島さんの説明を紙に書く。

出来るだけ簡潔に、要点だけをまとめていると高めの声が聞こえた。

「手札が残り1枚でも2pt取ったら勝ち?」

「勝ちだね」

「やってみたい」

「出来たらカッコイイね」

そうやって寺島さんとリラックスした感じで喋るウラカタさんの表情は私に強い違和感を与えていた。

チュートリアルの試合の最中、ウラカタさんのイメージは最初に見せたあの黒だ。私の知っているウラカタさんのイメージはいつもキョロキョロと上目が動く人だ。この2つも何かおかしい。



「これで合ってる?」

寺島さんに紙を渡す。20秒ほど経ち、

「合ってると思う」

と言いながら紙を私に戻し、iPhoneの充電を確認しにいった。

「私は書いてるうちに覚えたから、ウラカタさん持ってて」

とウラカタさんに紙を渡す。

「ありがと」

自分の席に戻った寺島さんがチョキを私たちに向けた。

「そしたら本番やるか。2ゲーム先取で」

1ゲームが2ptだから、最短で4ptか。

「分かった」

「いいよ」


<梅野のメモ>


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親から時計回りにカードを裏向きに1枚置く。

<誰も宣言しない場合>

・カードを重ねて置く(少しズラして)

・宣言する

<誰かが宣言した場合>

・強い宣言をする

・パス(手番こなくなる)

<宣言した人以外みんなパスした場合>

宣言した人は、

・重なっているカードは上から取る。

・他のプレイヤーの所のカードは、自分の所のカードが無くなってから取る事ができる。


宣言枚数のバラを取ったら成功。1pt獲得

途中でドクロを取ったら失敗。その人のカードが1枚ランダムで除外される。


これが1ラウンド。次のラウンドの親は時計回りにズレていく。


2pt先取か自分以外のプレイヤーの手札が無くなったら勝ち。


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